笑わせないでよ【シルバー】 (ページ42)

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可愛いは正義！ページ42

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Aが一応先輩たちを睨みあげると、ささっと道を開けてくれた。そういう意味じゃない。喧嘩するなって事なのに。避けたら尚グリムが調子に乗るじゃないか。

まあ、大きな揉め事には発展しなかっただけよかった。今にも飛びかかって魔法ぶつけ合いそうだった。マナーを守っているのはデュースだけだ。そもそもＮＲＣ生に真面さとか求めちゃ駄目だった。

「こらグリム、いい加減にしろ！スンマセン先輩がた！」

「あ、おじさん。オレはローストビーフとレタスの窯焼きサンド一つね♪」

『呆れた……』

「お前もちゃっかり割り込んでるんじゃない！」

はぁ、と呆れ半分に溜息を吐いた。こいつらはもう放っておこう。問題起こさないか心配だったけど、ここまで来れば最早庇えない。圧倒的にこっちが悪い。友達も大事だが面倒事は避けたい。

Aは先に席を取っておこうとその場を離れようとした。その時どこかで嗅いだことのある匂いがした。今の発言はキモかったから撤回する。

「あっちゃ～。昼飯争奪戦、完全に出遅れちゃったッスね。」

『あら、ラギーさん。』

「あ、Aくんじゃないッスか。」

ラギーは、掲げられた『デラックスメンチカツサンド売り切れ』という文字に、ゲッと声を上げた。

「レオナさんに頼まれたデラックスメンチカツサンドもう売り切れてるじゃないスか。」

あの人はいつも彼をパシッているのか、流石王族。まあ逆に考えれば、王族が自分で昼ご飯を買いに来るのもどうかと思うが。じゃあこれがやっぱり正しいカタチなのか。上級貴族の世界は難しい。これと言って答えが無いのだ。

Aが自問自答に近い考え事をしていると、ラギーはグリムに目を付けた。

「おっ、そこの君。すごいッスねぇ。超人気のデラックスメンチカツサンド、ゲットできたんスか。」

「あん？なんなんだゾ、オマエ。」

『グリム、先輩だって』

いい加減にしろ。さっき喧嘩売ったモブ上級生はいいんだよ。だけど、ラギーさんは可愛いだろ。可愛い人にはそれ相応に礼儀を払うのが常識だ。この世界は顔面偏差値で廻ってんだよ。

グリムを睨んでいると、ラギーさんはAの腕を引っ張っり、周りの目から隠すように自分の背に回した。それはまるで『邪魔するな』と言われたようだった。
遠回しでも、女性にそんなことするなんて、どうかと思いますよ、ラギーさん？Aはじっと次の行動を待った。