魅力おまけ ページ31
津田side
収録が終わってからスズくんとスタジオの外で立ち話をしていた
津田「面白いね、Aくん」
鈴村「目輝いてましたよ」
津田「僕？」
鈴村「うん。Aくんの演技中もだし、その後も背中ジーっと見てて」
津田「ほんと？恥ずかしいな」
ｶﾞﾁｬ
「あ、津田さん鈴村さん。お疲れ様です」
話していると、スタジオの扉から話題のAくんが出てきた
鈴村「お疲れー。って、あれ？先帰ってなかった？」
「監督さんに次の台本で確認したいことがあり、一度帰ってまた戻ってきました」
津田「早いな。あ、魔法？」
「はい。お二人はどうして…」
鈴村「ちょっと立ち話で盛り上がっちゃって」
「なるほど。どんなお話をされていたのですか？」
鈴村「主にAの事とか」
「私ですか？」
津田「うん。あ、Aくんに聞いてもいい？」
「はい。なんなりと」
津田「Aくんの演技って、分析？憑依？」
「はて…どちらかというと分析、でしょうか？」
鈴村「あれ。憑依かと思ってた」
「より具体的には、似た環境を探しているような感じですかね」
鈴村「環境？人じゃなくて？」
「似た人は、他人ですから。空真似になってしまうので」
それらしさを周りから探してきても、それは借り物になってしまう
でも、Aくんの演技は借り物じゃなかった
「皆様よりは、些か長く生きていますので」
津田「環境の引き出しが多いんだね」
「はい。武器に成り得る私の短所の一つです」
お恥ずかしい、と苦笑する
「似た環境でその時”私”がどうあるか。そう考えるとふと思考がセリフと重なる瞬間があって」
私、という言葉が嫌に歪に聞こえる
マイク前で見た真剣な顔
ただ、それだけじゃない。横顔からはわからなかった目の奥の色、深さ
「その重なりが、キャラクターとの重なりのような」
今日はAくんのいろんな顔を見た
でも、この顔が一番Aくんを見れた気がした
いや、何も見えなくなったその瞬間、これがAくんかと感じた
「そんな気がして。そうするとセリフがすごく馴染むんですよね」
また朗らかに笑う
やはり暖かい
誰かをわかった気になるつもりは無かったけど
でも、ここまでわからないのは初めてだった
津田「不思議だね、Aくんって」
「よく言われます。津田さんも不思議ですよね」
津田「たまに言われる」
引き込まれたら抜け出せなくなる魅力
これだけ深いなら、確かに抜け出せなくなりそうだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うるげぃりあ | 作成日時：2023年4月10日 19時
