友と２ ページ2
Aside
「友ですか」
『うん。アルドは、しばらく私の世界にいたわけだけど、友は作らないのかな』
「幾度かそのような関係に発展したこともございます」
『そうだね。アルドは我が子と、時に家族のように、時に同志のように
時に友のような関係になったことがあったけど、終ぞ、アルドから友という言葉はなかったね』
「はい。然様に」
全てを知り、全てを聞き、全てを見てきたその眼が
私の身体を射抜くように見据える
視線が血液と共に全身を隈なく廻るようなその感覚に、つい体を強張らせてしまう
『脅かすつもりはなかった。すまない。目つきが悪いと、数度他の者からも注意された事がある』
「いえ、その様なことは」
『いいんだ。特にアルドの世界の神には、二度とその面を見せるなと言われた事もある』
それは、目とは別の要因があるように思えてならないが
私が口を出すわけにもいかず、数刻気まずい空気が流れる
『まあ、アルドが友を作らない理由は、少し心当たりがある』
「それは…」
『凡そ、僕が友であるから、同じ位に我が子を位置させることができない
と、そんなところだろう』
確認を取るような視線に、軽く頷きで返答する
『で、あれば。解決は容易』
「まさか」
『私が友でなくなればいい』
その言葉に、予測できていたはずの心が氷を入れられたような感覚に陥った
『悲しむなかれ』
そう。あるべき関係に戻っただけ。
悲しむことではない、心を痛めるなど、強欲。傲慢。
『いいや。もっと求めなさい。迷い子よ』
いつの間にか逸らしていた視線を戻すように
顎にそっと手を添えられた
見透かすようなその眼差しに射抜かれる
『私は、アルドと親友になろう』
「はい…？」
『いや、親友では、今度は親友ができなくなってしまうね・・・では、神友としよう』
朗らかな、暖かい笑顔に、心が安らぐ
が、一方で頭は依然と呆けたまま
『どうした、アルド。神の友と書いて、神友だ』
「なる、ほど」
駄洒落
『言葉遊びだよ』
「っ、失礼致しました」
『いや、良いよ。そうやって、徐々にでも親しみをもってくれることは、嬉しいことだ』
顎に添えられた手が離れ、頭を撫でられる
『君は、もっと多くを求めていい。願っていい。そして、叶えていい
私の世界で、私が君に許可しよう。私の権限をもって、君はもっと強欲になりなさい』
「強欲に…」
『うん。まずは、友を作りなさい。そして、友と健やかに暮らしなさい』
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作者名：うるげぃりあ | 作成日時：2023年4月10日 19時
