【暮雲春樹】４ ページ42
岡本side
岡本「見つけた」
意外にもその木はすぐに見つかった
まるで桜が見つけてもらいたがっているかのように、絶えず花びらが舞っていて
それを追いかけるように歩き、その先にあったのがこの大木だ
「あぁ、これです。そう、この樹です･･･」
岡本「大きいね」
「はい」
木の足元には昔は付いていたであろう朽ちたしめ縄が落ちていた
きっと、昔はご神木として大切にされていてこっちに移動されたんだろう
「神社も小さかったので、この桜も本当に小さくて･･･梅と同じくらいの背丈しかなかったんです
それでも、満開に咲き誇っていて…とても美しかった」
懐かしむように幹を撫でるA
「今は、あの頃よりもさらに美しいです」
岡本「よかった」
「はい。この姿を見れてよかった。あの日を思い出せて、本当によかった」
割れ物を扱うかのように、小さく、優しく吐かれたその言葉
端々から感じる感情が、本当にAの大切な思い出なんだと教えてくる
岡本「再会できてよかった」
「はい。岡本さんにもお見せ出来て本当によかったです」
岡本「うん、こんなに立派な桜、僕も見れて嬉しいよ」
「ありがとうございます。探していただいて」
岡本「ううん、全然。きっとこの樹が見つけてほしがってたんだよ」
「そうなのですかね」
岡本「今日はあまり風もないのに、あんなに遠くまで知らせにきたんだから」
「そうですね、不思議な桜です」
見上げると、また応えるように花びらが舞う
「えぇ。私も、会えてよかった」
そう幹を撫でるAの手に、花びらが一つ落ちる
岡本「プレゼントかな」
「ふふ、そうかもしれません。本当に不思議な桜」
名残惜しそうに、手に乗った花びらを眺めながら振り返るA
岡本「もういいの？」
「はい」
岡本「そっか」
「もうすっかり日も暮れてしまいましたね」
桜を背に歩き始めたAの横を付き添って進む
「あ、岡本さん」
岡本「ん？」
「少ししゃがんでいただけますか？」
岡本「うん？」
「よいしょ…取れました。岡本さんにもプレゼントしてくれたみたいですね」
笑いながら差し出された手には花びらが握られていた
岡本「ほんとだ」
「お揃いのお土産も貰えて、また良い思い出ができました」
夕日と桜に染まった笑顔が、少し眩しく見えた
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猫。 - 推しが絡んでる...！推しと推しが...！紀章さんと諏訪部さん大好きで、うらつくあんまり二人出てこないので嬉しかったです！ありがとうございます！ (2023年4月23日 18時) (
レス) @page7 id: f02eee6231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うるげぃりあ | 作成日時：2022年5月14日 0時
