【歌い手】惚、好、愛、結 team.B【大型コラボ】 (ページ27)

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会場の後片付けが終わり、スタッフさんやメンバーと打ち上げに海鮮料理のお店にやってきた。

うらさんはまた海鮮かよ、と顔を顰めていたがAの海鮮料理大好きなんです、という一言でうらさんは眉間に寄せていた眉を緩めていた。

「Aは俺の横ね！」

「はいはい」

「じゃー俺もAさんの横〜」

「はあ？」

とんとん、と横の席を叩く。
そしたら座ったAの反対側の横の席にまーしぃが座る。

思わず声がもれると、まーしぃはこっわ、なんて微塵も思っていないへらついた顔で言った。

明るい打ち上げのはずなのに、この時点で既に空気がピリついていた。

誰のせいか、なんて一目瞭然だった。

(……俺が悪者みたいやん、こんなん)

注文を取りに来た店員に、生ビール！と言うと前に座っているうらさんが坂田…と顔を顰めた。
見て見ぬフリ、聞こえていないフリをした。

Aはレモンサワーを頼んでいた。

「そういやAさん今日のライブ見てたんだっけ？」

「はい。関係者席から」

「あ、じゃあ途中坂田固まっとったんってAさん見つけたから？」

「やってA来ると思わんかってんもん！」

一応今まで東京公演は全てゲストパスを渡していた。
だが、来てくれたのはこのツアーで今回が初めてだ。

だから戸惑った。混乱した。嬉しくて飛び跳ねそうになった。手を振りたい衝動に駆られた。
ふと関係者席に向けた目と、彼女の目がばっちりと交差して、控えめに赤色の灯ったペンライトを振られて。

固まるだけに留まった俺を褒めてほしいくらいだ。

だから、俺はライブが終わってすぐに彼女を引き止めに走った。
きっと帰るだろうから。でも、今すぐに感想が欲しかったから。

…何も、言ってくれないけど。

「…悠、大丈夫？顔赤い」

「んん…くらくらするだけ。だいじょうぶ」

「大丈夫じゃないでしょ、絶対」

普段飲まない生ビールをぐいぐいと呷ったせいか、頭が回らない。
嫉妬と疲れと寂しさで、今にも涙が溢れ出しそうだ。喉に迫りくる異物感も気持ち悪くて仕方ない。

机の下で、今日何度目かの手を握る。
ひんやりと冷たくて、気持ちよかった。

「…今日ホテルに泊まるんですよね？」

「うん、そうだよ。…もう帰る？」

「はい。お金は後日悠からもらってください」

ぼやける視界の中で、Aの暗い顔がちらりと見えた。

それだけだった。

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