【歌い手】惚、好、愛、結 team.A【大型コラボ】 (ページ21)

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12/4 雨ふってたらしいけどきづかなかった。
明日ははれますように。

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日記は、俺の母親が彼女の母親から受け取ったものだろう。

何も言わず、俺が気が付つくまでそっとしておいてくれているところが、俺の母がしそうなことだ。

気がついたことは、俺から母さんにも言わないでおこう。親子って変なところ似るんだなぁ。

……こんなの、涙を我慢するための言い訳だ。

俺にとっては、彼女が転校してきてから再び転校するまでの約半年は今までほとんど忘れていたような、そんな記憶でしかなかった。

一瞬すぎて現実と夢との境目が分からなくなっていたような、そんな風。

12月5日で最後だった。

その日の日記ですべてを察した。

あれだけ綺麗だった字が、子供のような拙い字に変わっている。

＿＿＿＿＿＿点滴にまみれた、痛々しいあの小さな手が目に浮かんだ。

病に冒され、弱くなった筆圧と震える手で書かれたそのページにはシワができていた。

そこに新たに加わる自分の雫。

きっと彼女は、手に取れる思い出を欲していた。
だから俺に日記を書くように言ったのだろう。

たかが日記、されど日記。

俺にとっては、少しめんどくさくも可愛いお願いだから書いてあげようという程度のソレは、彼女の生きる糧だった。

「日記って、いつまで続けるもんなん？終わり見えへんくない？」

「書けなくなったら終わりだよ」

透き通った声が脳内に響いた。

もっと、日記という形で思い出を残してあげられたら良かった。

気づけなくても俺の意思次第で書けたのに、彼女の生きる糧を生み出してやることが出来たのに。

パタリ、と日記が手から滑り落ちた拍子に手紙が落ちた。

彼女の母からだった。

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坂田くんへ

Aの日記に付き合ってやってくれて本当にありがとう。Aは、高二の春にある病を発症しました。治療に専念するため学校を休み、通学許可が降りたと同時に坂田くんの学校への転校が決まったんです。もって1年だと言われていたAは、12月7日に帰らぬ人となりました。日記に綴られた坂田くんとの思い出が、彼女の生きる希望と勇気でした。どうかAの最後の願いを聞いて、このノートを受け取ってやってください。いつでもいいからこのノートを広げてあの子の存在を思い出してあげてください。