【あらき】ツンと雨と虹と/Shiro兎 ページ7
「バカなの!?」
口癖はいつもこれ。目の前でキャンキャン吠えているのは俺の彼女。名前はA。
高校二年になり、そろそろ彼女欲しいなーと思っていたところにキミが現れた。初めて同じクラスになったキミ。目が合う度に胸がドキドキした。
俺が恋に落ちたのはそん時か。告白する、と宣言したら周りの友人たちは止めておけだのお前とは不釣り合いだの、まぁそれはそれは言われたもんだ。
そしてダメ元で告白したら何故かOKされた。自分でもびっくりして「マジ!?」と聞いてしまった。
『……ホントに、俺でいいの?』
『じゃなきゃオッケーしないよ』
(あの時は可愛かったのに)
そうしてリア充の仲間入りを果たした──そこまでは良かった。
『A〜』
『ちょ、いきなり何すんの!?』
『いいじゃんか。別に誰も見てないんだし』
『そういう問題じゃないでしょ!いいから離れてよ、このバカあらき!!』
──そう。彼女は世間一般で言う『ツンデレ』という部類に入っている。付き合って月日が経つ内に、だんだんボロが出始めたのだ。
「ここは基礎中の基礎よ!?あんた今まで何勉強してたの」
「え?授業なんて聞くわけないじゃん」
「……はぁー…もう一度説明するわよ。耳の穴かっぽじってよーく聞いてなさいね」
ため息をつきながら丁寧に説明を始めるA。俺以外の前ではツンを見せない。むしろデレがまあまあ多い。フツーなら彼氏の前でデレデレするもんだろ。
A曰く、嫌われるのは嫌との事。それだったら俺に嫌われてもいいのかと付き合って二ヶ月目の時に聞いたがAはこう返答した。
『だって…好きな人には、自分の素を知ってほしいでしょ』
今でも鮮明に思い出す。初々しいAはどこへやら。
「…ねえ、聞いてるの?」
「へ?き、聞いてるけど」
「じゃあここの答えは?」
「え、えーと…」
ヤバい。全っ然分からん。俺が考えを捻り出す時間が経つにつれてAの顔が歪んでくる。ヤベぇ、マジでヤベぇ。
「あんたまさか…」
「分かってるって!」
「じゃあ早く言いなさいよ」
一か八か。ここは言うしかない。
「…x=3」
「……」
うんともすんとも言わない。あぁ、また怒られるのか。目をぎゅっと瞑ったその瞬間。
「合ってる!正解だよあらき!」
「…お、おうよ!あたりめーだろ」
たまに見せる笑顔にドキドキすんだよな。
(そういうとこも含めて全部全部、好きなんだよな)
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