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結局ベッドを出たのはお昼前。一緒に朝昼兼用食を作って、それを食べながら今日の予定をどうするか話合う。
「Aは今日なにしたい?」
「洋服見に行きたいかも。そろそろリリイベもあるしね」
「じゃあ服買いに行こう」
「まふはそれでいいの?」
「Aと一緒ならなんでもいいよ」
「じゃあ私の用事が終わったらまふの好きなところ行こうね」
僕はAがいるならどこでもいいのに、なんてそんなことを言えば、きっと遠慮して家に帰ろうと提案してくるだろう。だから、イルミネーションでも見に行こうかと提案してみれば、そうしよっかって、ふわりと笑った。
*****
Aが出かける準備をしている間に、食器を洗っていろはにご飯をあげて、僕も出かける準備をする。
着替えてリビングに戻れば既に準備を終えたAが戻ってきて、膝に乗せたいろはを撫でながら待っていた。
その光景を残しておこうと思ってスマホのカメラで写真を撮ると、シャッター音に気付いた彼女が顔をあげた。
「今、写真撮ったでしょ」
「うん、撮った」
正直に答えれば見せて見せてといろはを抱き上げて近付いてくる。隣に並んで画面を覗き込むようにして写真を見た彼女は、「いろちゃん、可愛く撮ってもらえてよかったねぇ」といろはに声を掛けた。そんなこと言ってるAも可愛いよ、なんて本人には照れくさくて言えないけれど。
「そろそろ出かけよっか」
「あっ、そうだね。そろそろ行かないと帰りも遅くなっちゃうよね」
「別に遅くなるのはいいんだけどね」
そう言えば不思議そうな顔をした彼女に、さっきからいろはに構ってばかりで面白くないから早く行こうよ、だとかそんなことを言えば、からかわれるだろうから笑って誤魔化した。
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