【歌い手】今宵、愛の言葉は隠された team.A【大型コラボ】 (ページ25)

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次の日、突然二人が消えた。
かたくなに寝室で寝ることを拒否し、あんなに激しく喧嘩をしたというのに二人で一緒に眠るというのだから心配になって朝早くに二人の様子を確認しに来た午前五時。ソファーで寄り添って眠っていた姿は二人の姿は突然に消えた。日はだんだん上がっていき、朝を受け入れようとする中。私だけが現状を受け入れられずにいたのだ。

パジャマ姿で駆け出した。三人でいった場所を次々と回って。学校、ゲームセンター、図書館、駅近く。思い当たる場所が多すぎた。見つからないまま走っても体力が減っていって。私は泣きじゃくりながら二人の名を呼んで無茶苦茶に走った。

「しまちゃん、せんちゃん。どこにいるの……」
公園のベンチで眠気覚ましにコーヒーを買って。これで今持っているお金は尽きてしまった。空を見上げれば雲に隠れている中でも太陽の光は隙間をかいくぐって光で地面を照らした。二人は家に帰っているんじゃないか。両親に気まずくなるのが苦しくて、こっそり部屋に帰っているんじゃないか。私の努力は、見当違いだったんじゃないか。不安が膨らんでいく。二人が、悲しくしているんじゃないかって。幼馴染の勘なんてこんなものなのか。しょんぼりすることすらも時間はそうはさせてくれない。

「……しょうがない。帰るか」
缶コーヒーをゴミ箱へ投げる。最後に、もう一度公園内を一周して探してから帰ろうかと軽い伸びをして。そこで元は白の、今は泥で黒くなった滑り台の中に、人影が見えた。帰って私はそこの人影に向かって独り言をつぶやく。さっきより、自信をもって。確信はあった。

「ねぇ、帰っておいでよ。二人とも。」
私はどんな志麻ちゃんもセンちゃんも。大好きだよ？

太陽が雲から抜けて公園を照らす。影は震えているように見えた。

＊

そしてその日、二人の顔を見ることはなかった。その代わり、次の日からは普通にいつも笑顔で、私の前に現れて。馬鹿、と二人の背中にパンチを食わらした。それから笑った。いつもと変わらない、綺麗な姿だった。ただし、昨日の事は一期も口にしてはいけない。昨日の事に関係のあることも行ってはいけない。この二つを何度も教えられ、それを守れるのなら私は二人との日常をこれからも築いていけるのだと理解し、考えることを放棄した。

＊

「いや、でもさ。私、あの匂いなんか覚えがある」
「私の身近にあって、飲んだのは初めてだけど。あの匂い、知ってる」