推しの綱海の妹になったんだけどこれなんてご褒美？ (ページ28)

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15話ページ28

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あれから一年が経ち、私は年中、にーには年長になった。来年から彼は小学一年生だ。そのこともあり、にーには少しうきうきしている。

「A、俺が小学生になったらな、高い高いしてやる。そんでな、また一緒にサーフィンしような！」

「うん！楽しみ！」

「へへっ、だろ！」

サーフィンは怖いのでもういいです。どっちかっていうと高い高いの方を積極的にやってほしいです、はい。

私は、常にサッカーボールに触れておくようにした。その方が慣れるのも早いだろうし、コントロールも上手くなるだろうから。っていうのは漫画の受け売りなんだけれども。

幼稚園からの帰り道、いつもサッカーを練習している公園を通ったので、どうせなら今日もやろうと足を止めた。

「にーに、私ここで練習して行くから、先に帰っていいよ」

「え、なんの？」

「サッカーだよ！これ！」

私がそう言ってサッカーボールを掲げると、にーにはなんとも不服そうな顔をした。口を尖られてるのが最高にグッド。

「なんで？今日ぐらいやんなくてもいいじゃねぇか」

「でもさ、やらないよりはやった方が……」

私が言い終わらないうちに、にーには私を拳骨で殴った。痛い。

「うるさい！お前なんかもう知るか！」

にーには繋いでいた手を振りほどき、家の方向へ突っ走って行った。

残された私は、ただポカンとするしかない。というよりも、彼が今なんで怒ったのかをくるくると頭を働かせて考えている。

言い訳したのが悪かった？それともサッカーを練習しようとしたこと？

「さっぱりわからん。子供って難しい……」

通りがかった大人が私をギョッとした目で見た。まあ、子供の私がそんなことに言ったら驚くだろうけど。

取り敢えず、いつもの我儘みたいなものかもしれないし、私はサッカーやろう。そう思って、日が暮れるまでサッカーをした。顔も腕も土だらけだけど、久しぶりにちゃんと練習ができて大満足だ。

そろそろ帰ろうと公園を出ると、お母さんがかなり焦った表情でこちらに向かってきていた。

「A！ああ良かった！心配したのよ？条介に聞いても知らないの一点張りだし。一緒に帰って来なかったの？」

どうやらお母さんを心配させてしまったらしい。申し訳ないな。

「にーにが、先に帰っちゃって……」

お母さんは、苦笑いで私を抱っこした。

「ほんと、Aは昔から落ち着いてるのね」