推しの綱海の妹になったんだけどこれなんてご褒美？ (ページ19)

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翌朝、早速文化祭の準備を始めた。

前世ではこんなに文化祭に力を入れてはいなかったので、朝っぱらからクラスで集まって色々やってることに驚いた。

私が教室に着いた頃には、殆どのクラスメイトがガヤガヤと劇について話していた。

「あ、Aちゃん！おはよう」

「秋ちゃん」

「サイズ図ってもいいかな？」

「いいよ」

随分本格的なんだなぁ、と鞄を机に置いて再び秋ちゃんのところへ向かう。

「じゃあ行こっか」

「え、どこ行くの？」

「教室だと嫌かなと思って。更衣室で図りましょう？」

そう言って秋ちゃんは微笑んだ。

気の利く良い女の子だ……。

更衣室に着くと、秋ちゃんは素早く私のサイズを図っていった。確かにこれは恥ずかしい。自分のウエストやらバストやらのサイズは、できるだけ他人には知られたくないよね。

秋ちゃんは紙に数字を書き込みながら口を開いた。

「あのね、本当はちょっと羨ましいなって思ったんだ」

「え？」

「役の話。勿論、服作れるのは嬉しかった。でも、王子様役が円堂くんって知ったときは残念だったかな」

「秋ちゃん……」

秋ちゃんは手を止めずに言葉を紡いでいく。

「でもね、お姫様役がAちゃんで良かった」

「……？どういうこと？」

イマイチ意味がわからず、首を傾げると、秋ちゃんは可笑しそうに笑った。

「だってAちゃんは豪炎寺くんのことが好きでしょ？」

その一言に、自分の顔がブワッと熱くなるのがわかる。いくら好きな人を知られているとはいえ、ど直球に言われれば戸惑ってしまう。

「Aちゃん顔真っ赤！」

「だって秋ちゃんがいきなりそんなこと言うから……」

「ごめんごめん。それにほら、目覚めのキスだって本当にする訳じゃないし」

書き終わった紙を折り畳んで、秋ちゃんはこちらを真っ直ぐ見た。

「頑張ってねAちゃん。私も頑張る。みんなで劇を成功させようね」

「あと、このことは二人の秘密ね」と恥ずかしそうに秋ちゃんは口元を緩めた。

「うん」

恋する秋ちゃん可愛い。