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隠していた気持ちの段 ページ3

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今日の昼の一年は組の教室は、いつも以上に騒がしかった。神崎左門と天女が戻ってきたこと。それと、きり丸と兵太夫が天女を庇ったこと。


昼休み。昼食を食べ終わった後、一年は組のみんなは、偶然教室にいた。今日は午後の授業がない。委員会もない。


学級委員長の黒木庄左ヱ門はひとり言のように呟いた。


黒木
「天女様、戻ったって……」


わざとその話題に触れていなかった。みんなの話し声が一瞬でなくなった。

庄左ヱ門はそれに少し驚き、更に小さな声で言った。


黒木
「さっき、食堂で伊作先輩がおばちゃんに言ってたのを聞いたんだ。天女様、神崎先輩よりも重傷だったって……」


それでも教室は静まり返っていたので、庄左ヱ門の声ははっきりと聞こえた。

きり丸が信じられないとでも言うように声を出した。


きり丸
「庄左ヱ門、それ……本当かよ……」

黒木
「うん……確かにそう言ってた」

きり丸
「っ……」


教室がまたざわついた。その言葉が、きり丸の耳に入ってきた。


重傷なんでしょ?よかった。

天女なんて、死んじゃえばいいんだよ。

いなくなってほしいよ。


普段仲の良い乱太郎としんべヱもそうだった。きり丸は、それが、どうしようもなく悔しかった。


そんな言葉聞きたくない。Aさんは死んだらいけないんだ。だって、あんな良い人なのに……!


目の奥が熱くなって、鼻もつんとした。

きり丸は必死に聞き流そうとしたが、とうとう頬を一筋の涙が伝った。


きり丸
「なんで……」

乱太郎
「きり丸……?」

きり丸
「なんでそんなこと言うんだよ!Aさんは前の天女とは違う!」


ざわついた教室が、再び静かになった。皆、驚いたようにきり丸の方を見ている。

気持ち悪くなって、きり丸は顔を背けた。


きり丸
「俺、Aさんの様子見てくる……」


ドアに手を掛けると、反対の手を誰かに引かれた。


笹山
「待って、きり丸」


兵太夫もまた、Aに救われた一人だ。彼も、Aの悪口は聞きたくなかった。


笹山
「Aさんのことは、さっき見に行ったよ。確かに傷は酷かったけど、大丈夫そうだった」

きり丸
「兵太夫……」

笹山
「僕もきり丸と同じ気持ちだよ。Aさんは前の天女とは違う」


きり丸とは兵太夫以外が、息を呑んだ瞬間だった。

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ぬう(プロフ) - 久しぶりに天女系の作品見た1番すんなり受け入れられた…初めてッッッ(汗)完結されていて少し悲しいですが面白かったです! (8月10日 7時) (レス) @page25 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - これで完結なんでしょうか……? とても面白かったです! 個人的にはこの先が気になるところ……綾部くんと鉢屋にめちゃめちゃヒヤヒヤしました。夢主ちゃん、頑張れ!! (2022年6月1日 22時) (レス) @page25 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - ぜひ完結まで読みたいです。大変かと思いますが更新していただけると嬉しいです! (2022年3月13日 12時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
こあ - 面白いです頑張ってください (2020年3月14日 18時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
紗那(プロフ) - とても楽しみにしています!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年11月6日 23時) (レス) id: a5ce07c098 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉兎野鳥 | 作成日時:2018年9月25日 15時

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