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保健室に着いてから、また熱が上がったのか
視界がぐらぐらと揺れて、ぼやける。
「38.7度だって。
よくこんなになるまで授業出ようとしたね」
トウマが呆れてしまうのも無理はない。
実際自分だって呆れているのだから。
「ご、ごめん······」
もぞもぞと保健室のベッドに潜ると、トウマがくすっと笑った。
チャイムが鳴ると、保健室を出ていった。
保健の先生は、出張で昼から居なかったらしい。
一人ということを知ってしまうと、熱のせいだか何なのか知らないけど
妙に寂しくなる。
あと二時限で授業は終わるけれど、寝ようにも寝れないこの時間が
早く過ぎてしまえば良いのに、と
何も悪くない時計を軽く睨んだ。
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終礼が終わったのか、バタバタと靴の音が保健室にまで響いた。
その大きな音は、風邪を引いている私には煩くにしか聞こえない。
そんな音が過ぎ去った後、ガラッとドアが開く音がした。
「ん、トウマ······?」
「今から帰るけど、起きれる?」
足に力を入れて、立ち上がると、やっぱりふらふらする。
平衡感覚も可笑しくなっているのか、ちゃんと立っている筈なのに
ぐらりと体が傾き、手に冷たい感覚がした。
正直、目を開けたくないと思いながらも、少し開けると
焦ったトウマの顔が見えた。
「___!___······っ」
何で泣きそうな顔をしているんだろう。
熱で使い物にならない頭で考える前に、意識がとんだ。
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