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エイプリールフール １ ページ14
「朱雀なんて嫌い」
今日は４月１日。現世ではエイプリルフールと言うものらしく、アキノリの家に
何時も通り行くと、皆から小さな嘘をつかれた。
とても吃驚したし、悲しくもなったけど、今はそんなこと置いといて。
朱雀はエイプリルフールなんて知らなさそうだから、一つ嘘をついてみる。
やっぱり吃驚しているのか、言葉も出ないらしい。
かと思ったら、何かを閃いたような顔をした。
「今日は『エイプリルフール』という嘘をついても良い日ではないか？
今、嘘をついたのだろう、A」
「······う、嘘じゃないよ。嫌いだもん」
「目が泳いでいるぞ、阿呆が」
まさかこんなに呆気なく見破られるとは。
「何でエイプリルフールの事知ってるの？」
「アキノリから聞いたのだ。A、いくら今日が嘘をついて良いとはいえ
人を傷つけるような嘘は駄目だろう？」
何時もの柔らかな眼差しは何処へやら、鋭い眼孔を私に向けた。
かなり怒っているかもしれない。
「ご、ごめんなさい······」
つい怖じ気づいて、白状し、謝ると、綺麗な緑色の目と合った。
かと思えば、腰に手を回してきた。
率直に言えば、軽く抱き締められている。
「すっ、朱雀？」
「ふっ······Aは素直だな。怒ってなどいない。
我は素直なAが好きだぞ」
end
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