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鬼殺隊員として認められた白蓮は、その夜産屋敷に呼ばれた。
ここに来て、手荒い扱いをされた白蓮の体は強張っていたが、産屋敷の声を聞くと
その強張りも自然に解けていった。
「君の名前を聞いていなかったね」
「······鬼舞辻無惨には、白蓮と呼ばれていました。しかし、私はもうあの人のものでは
ありません。この名を捨てようと思います」
「なら、私がつけても構わないかな。丁度君を呼び出したのはその事だったんだ。
これからは鬼と言うことを隠して生きていくから、名字が必要だと思ってね」
彼女は目を見開いた。
鬼である自分を前に、嫌悪感を出すことはおろか、優しく微笑んでくれる彼がとても温かかった。
上部だけの愛情を注がれているように感じた鬼舞辻とは全く違った。
震えた声で、何とか一言はい、と言えば、産屋敷は考える素振りをした。
少しの沈黙の間に、外から雨の降る音がする。
「······小夜時雨 A。これを君の名前にしよう」
「っ······っ、ありがとうございます。ありがたく頂戴します······」
おや、と一言漏らした産屋敷の顔は穏やかだった。
産屋敷は感涙を静かに流す彼女の左目を隠す髪を掻き分けた。
「す、すいませんっ·······泣いてしまうなんて」
「いや、良いんだよ、A。······今までよく頑張ったね」
涙で潤った『下零』という文字の入った瞳が産屋敷を見る。
彼はその瞳を、彼女を綺麗だと思った。純粋に綺麗だと思ったのだ。
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レミィ - 面白かったです!今コロナが流行っているので気を付けてください! (2020年3月9日 11時) (レス) id: edb0276662 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ - とても面白かったです!私もこんな小説が書けるようになりたいです! (2020年1月28日 16時) (レス) id: 113690dea7 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 零さん» 本当ですね、すいません!ありがとうございます! (2019年10月17日 1時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 「吾妻」じゃなくて「我妻」だと思います。間違ってたらすみません (2019年10月16日 23時) (レス) id: ac710565be (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 雪乃さん» 教えてくださりありがとうございます!すぐに直します!指摘コメントありがとうございました! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
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