××さんと鬼舞辻無惨 ページ11
「ふぅー······」
一つ、大きな溜め息をついて、布団に顔を埋める。
遠くに虫の鳴く音が聞こえて、それよりもっと近くでは隣の部屋から布団の擦れる音が聞こえる。
疲れてしまったのか、すぐに睡魔が襲ってきて、私は微睡みに身を預けた。
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「白蓮」
何度も何度も聞いた、あまり聞きたくない声。
怖くて、知らないうちに体が小刻みに震えていることを知った。
バレないように気持ちを平然と保とうとしても、体は素直に恐怖に支配される。
頬に冷や汗が伝った。今日こそ、私はあの方の手で殺されるかもしれない。
そう思いながら毎日を生きているけれど、向こうは全く私を始末する気は無いらしい。
代わりにまた、私をもっと強くしようとする。力でねじ伏せようとする。
「は、はい。鬼舞辻様······」
「お前はもっと強くあるべきだ。どの下弦の鬼よりも強く、美しいお前は、上弦の鬼に
入れても惜しくはない実力を持っている」
もうこれ以上強くならなくていい、十分だ。
私はもう、人間を狩りたくない。貴方の元で恐れて過ごしたくはない。
十分に彼に歯向かった。心の声がこの距離で聞こえていない訳がない。
矛盾しているけれど、
どうせ死ぬなら、自分の手でこの命を終えたい。
叶いもしないことを、淡々と願っては嘆いていた。
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レミィ - 面白かったです!今コロナが流行っているので気を付けてください! (2020年3月9日 11時) (レス) id: edb0276662 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ - とても面白かったです!私もこんな小説が書けるようになりたいです! (2020年1月28日 16時) (レス) id: 113690dea7 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 零さん» 本当ですね、すいません!ありがとうございます! (2019年10月17日 1時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 「吾妻」じゃなくて「我妻」だと思います。間違ってたらすみません (2019年10月16日 23時) (レス) id: ac710565be (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 雪乃さん» 教えてくださりありがとうございます!すぐに直します!指摘コメントありがとうございました! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
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