六話 ページ7
「っ、うん······?」
いつの間にか寝てしまったらしい。
空は依然と暗く、星が瞬いていた。
6月らしい湿気を含んだ生暖かい風も、少し冷たい。
隣にいた鬼は居なくなっていたけど、私に綺麗な白色の羽織がかけられていた。
「あのー······」
呼び掛けても出てこなかった。
もう一度スマホを見ると、10:15を指していた。
いつもこんな遅くまで何処かに行くことは無いのに、不思議と此処は怖くなかった。
羽織を畳んで、ポケットの中に入っていた飴を羽織の上に置いた。
そして、軽くお辞儀をして明るい石段をかけ降りた。
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「あの子、また食べ物置いていったね」
「嗚呼、そうだな。食べたければ食え。ついでに羽織も持ってきてくれ」
「分かった、深月」
社殿内でAが置いていった飴に目を輝かせるのは、
七歳程の少年だった。
その少年は水干と呼ばれる服を着ていて、金の毛並みが特徴の耳と尻尾が生えている。
顔の横には狐の面を被っていた。
羽織を持ってきた少年、鈴に深月は頭を撫でてやった。
すると、嬉しそうに目を細めた。
「ふふっ、深月あの子気に入った」
「そう見えるか?」
鈴は黄色い瞳を大きく見開いて、明日もあの子来るよ、と言った。
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鈴 (スズ)
外見七歳程の狐の子。
明日までの未来を見ることができる。
お菓子が大好き。
深月に拾われ、時々遊びに来るようになった。
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