十一話 ページ12
いきなり掴まれた腕。
我に返ったようにしまった、と手を離す鬼。
「······此処に来たいなら、明日来れば良い」
そして
少し、期待していた私。
トボトボと夜の道を歩いていく。
家に帰ったって、自分の居場所なんて無いようなものなのに。
いっそのこと、独り暮らしでもしてみようか。
なんて、馬鹿で非現実的な事を考える。
すると、後ろから黒い服を着た男の人が歩いてきた。
顔も見えない夜に後ろから来られると、少し付けられている感じがして怖い。
早く帰ろうと早く歩くと、後ろの人も早く歩き始めた気がする。
さっきよりも確実に距離が短くなっていることに気付き、怖くなって走った。
すると同じように走る。絶対付けていると確信した。
私より速く、どんどん距離を縮めてくる。
「······っ!」
住宅街の角を利用しながら逃げても一定のスピードで追い付こうとする。
こんなところで私は捕まって、行方不明者とされるんだろうか。
遂に手を伸ばして、私の肩を掴んできた男の人。
息が上がって、私を睨み付けるように見る彼が恐怖で、声すらも出ない。
もう無理かな。結局何もないまま終わるのか。
そう思っていると、肩に乗せられていた手が離れた。
「何してるんですか?」
「チッ······!」
男の人は逃げていった。
声がした方を振り替えると、茶髪と眼鏡が特徴なクラスメイトがいた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ