一話 ページ2
いつもそうだった。
平凡に育って、特に長けた所もない私と
可愛くて、チヤホヤされる妹。
お母さんは、分け隔てなく育ててくれた。
お父さんは真菜が5歳の時、居なくなった。
皆真菜の持ち前の明るい性格と、愛嬌のある顔に好きになるひとも多い。
けれど、裏の顔は皆が好きな明るい優しい子ではないことを知っている。
家族にまで表の顔でいることなど不可能だ。
そんな妹のコロコロと変わる人格を見るのが嫌だった。
そんな妹と比べられるのが嫌だった。
学校の帰り道、スーパーで買い物をして家に帰る。
お母さんは女手一つで育ててくれていると言っても過言ではない。
仕事で働いて、高校に通うお金を貯めてくれている。
だから、帰ってこない日も多い。
「ただいま」
玄関のドアを開けて、リビングにはいる。
小さな観葉植物や、本棚、テーブル、ソファー。
台所に入って、買ってきたお肉や野菜を冷蔵庫に入れて、服を着替える。
もう一度リビングに行くと、床には数札の雑誌が乱雑に広げられ、
テーブルには化粧品や食べかけのお菓子がずらりと置かれ、散らばっている。
ソファーでは露出の高い服を着た妹が、口にグミを咥えながらスマホを触っている。
家ではこんなにだらしないのだ。
「真菜、テーブル片付けて。
それと、お弁当出してないでしょ。早く出してよ」
「えー、めんどくさーい。お姉ちゃんやって〜」
「後でスマホすれば良いでしょ。後、宿題やんなよ」
こうでも言わないと自分の好きなことばかりするのが真菜の悪い癖だ。
真菜は軽く舌打ちして、立った。
「言うこと聞いてくんないよね、本当使えないお姉ちゃん」
弁当を台所に置き、化粧品やお菓子を鞄に詰めて、ムカつくと吐き捨てて二階へと
上がっていった。
リビングには香水の匂いが漂っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
