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「Aさん?マジ?」
「すごーい。やっぱり綺麗だなあ」
「トランクスに悟天だね、随分大きくなったね。マーロンやパンや、ブラも大きくなったのかな。子供は大きくなるのが早いから、3年も目を離しちゃって、もったいないことした」
青い患者服を着て、大量の管に繋がれている。Aの体はもともと太陽何個分もの高エネルギーを有しており、エデンの動力源になるほどだった。
今は内臓こそエデンの残り滓だが、体はそうではない。あくまで人間に近くなることを願ったブルマのお陰ですっかり常に空腹のエネルギー不足状態だ。
18号たちのように、永久エネルギー原子炉を体内に入れてもよかった。が、それでは兵器になってしまう。彼女は人間になって欲しかった。眠って、恋をして、腹が空く。ブルマなりにエデンの全てに抗ったのだ。
エネルギーを供給するための点滴と、それでも追いつかないために用意された大量のオムライス。ひたすらオムライスがテーブルに並んでいる様は圧巻だった。
「オムライス、好きだったっけ」
トランクスが若干引き攣った笑みで尋ねた。まだ冷めないうちに消えていくオムライスはまるで飛んでいた。
「んー」
もむもむと口を動かして丸ごと飲み込んだ。Aは空っぽになった皿を眺めて、ソースを指で掬って舐める。
「思ってた味と違う」
「じゃあ食べなきゃ良いのに」
「でもオムライス食べたい」
「えー…?」
「…どんな味、…だったっけ…」
何もなくなった皿を見て、Aは次の皿に手を伸ばした。
思い出せないけどすごく美味しかった気がするのだ。忘れてはいけなかったはずなのに、どうしても思い出せない。
シュンっと空気が歪んで、ウィスの後ろからひょこりと悟空が顔を出した。ぱあと明るく笑って真後ろにいるベジータに向かって叫ぶ。
「Aー!起きてるぞ!ベジータ!」
「うるさいぞ」
「2人とも久しぶり」
管で身動きが取れない彼女を見て不安を覚えつつ、生き返ったことに安堵した。
きっと帰ってくると思っていたから。
悟空は乱雑に彼女の頭を撫でた。前とは少し違う髪の感触に、いかに人になったかと考えた。
「元気そうだな」
静かにベジータが腕を組んで、見下ろしてくる。手を伸ばすと優しく触れる。
「ふふふ」
「おお、そうだ、おめぇいつ元気になるんだ?」
悟空がしゃがんで視線を合わせた。
「さあ…」
「せっかくだからよ、元気になったら水族館とか動物園行こうぜ!」
「え?」
キョトンとした彼女は首を傾げた。
「どうして?」
「お前が行きたいって言ってたんじゃねえか」
「そんなこと言ってないよ」

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ニック(プロフ) - とても良い作品でした。最終回なのが悲しいです。 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 929d0bcae2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メルト | 作成日時:2022年8月3日 17時

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