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「え？」と拍子抜けする私を無視し、彼は振り返る事なく「早く着いてきて」とばっさり言い放つ。
更には固まっている私をそのままに、スタスタと歩いて行ってしまう。
「えっ……ちょ、待って…っ」
訳がわからないまま、私は慌てて小走りで後を追いかけた。
◯
「こんのすけ〜連れてきたよ〜」
……暫くして、ある部屋の前で彼の足がピタリと止まった。
かと思えば、障子の向こうの誰かに向かって気怠そうに声を張った。
部屋の中から「お入りください」と聞き覚えのある声が発せられると、それを合図に彼は白い手をスッと伸ばして静かに障子を開いた。
「………先に入って」
素っ気なくそう言うと、引手に手をかけたまま彼はじいとこちらを見る。
"早く入れ"と言わんばかりのその鋭い視線に縮み上がった私は、コクリと小さく頷いてからガチガチになって会釈をし、ゆっくりとその部屋に足を踏み入れた。
＿＿＿ついに家主と対面する…！
そう思った瞬間、バクバクと心臓が飛び跳ね、身体中が震えた。
緊張してぎゅっと握った手は自分でも驚いてしまうほど、氷の様に冷たかった。
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「審神者さま！どちらへ行かれておりましたか！こんのすけは心配しておりました！」
「うあっっっっ？！？！」
部屋に足を踏み入れるなり、家主は驚くような脚力を駆使してぴょんと跳ねたかと思うと、私目掛けて一目散に飛びついた。
その勢いでどすんと後ろに倒れた私は、昨晩思いきり地面に打ったまだ癒えていない尻の傷みを強制的に思い出すこととなる。
「審神者さまぁ…どこへ行かれていたのですかぁ…こんのすけにはもう、貴女様しかおりません」
強く痛むお尻にぷるぷると全身を震わせていたら、お腹あたりに引っ付いたキツネ君の大きな目から涙が一粒二粒と落ち始めた事に気付いて思わずギョッとしてしまう。
「えっ大丈夫…？」と声をかけると、潤んだ彼の目からぶわわと滝のように大粒の涙が溢れ出た。
「さにわさま…っ、この、このほんまるをっ……どうか…っ」
「えっと…落ち着いて…！ていうか、そんなに泣かなくても……」
「このままではこのほんまるは…っ」
「……話なら聴くから、ね、ほら泣き止んで」
「さ、昨晩は…大変失礼なことを…っ」
「うん、お尻はすんごく痛い。……っでも話聴くからさ、あの…泣き止んで…」
「ああ、はい…っ、お見苦しいところを……すみません…」
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みや(プロフ) - 羅胤さん» 羅胤様、初めまして！ご感想いただきありがとうございます！とても嬉しいお言葉です。改善点も視野に入れ、更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年12月2日 15時) (
レス) id: 56bc8124d6 (このIDを非表示/違反報告)
羅胤(プロフ) - みや様、初めまして。本作を読ませていただいたものです。改行が多い点は気になりましたが、文章がとても上手く、物語に引き込まれてしまいました。これからも是非、更新を頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年12月2日 15時) (レス) id: 6b5b4b25ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや | 作成日時：2020年11月1日 0時
