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高いものは1本1万するって、昔誰かが言っていた。
要らぬ沢庵知識が活躍するのは恐らく今日が最初で最後である。
「1万…かあ…」
欲望のままに沢庵に手を出した罪は空腹を耐える苦しさよりも存外重い。
冷静に考えてみれば、人様のお家の冷蔵庫を開ける事は非常識だ。
キツネ君が起きるまで我慢していれば、こんな事にはならなかったのかもしれない。
……とは言っても、今になって後悔したところでやってしまった事に変わりはない。
鬱々としている一方で肝心のお腹のほうはというと、憎たらしいほどにすっかり落ち着き、沢庵と一緒に頂いたお水もあってか喉も潤って満足していた。
しばらく地響きを起こすことはなさそうである。
「……謝りに行くしかない…」
私はそう呟いた。気持ちを落ち着かせるために深呼吸を何度も行う。
それから気合いを入れるべく、震える両手で頬を2回叩いた。
「……まずはキツネ君に訳を説明して、その後に家主の方に謝罪する…」
家主の姿をぼんやりと想像すると、威圧感満載の和装オジさんや顔に傷のある黒ずくめの格好をした兄ちゃんしか思い浮かばない。果たして生きて帰れるのだろうか。
ぞぞっと背筋が凍ってきたところで、私は ひえ、と囁いた。
「は、早く部屋に戻ろう」
バタバタと慌ただしく履き物を脱ぐと、急いで台所を後にした。
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台所の出入り口、その暖簾をかき分けた直後の事である。
突然「ねえ」と男性の低い声が上から降ってきたので、私はその場でぎゃっと大きな叫び声を上げた。
もっと可愛らしい声を上げたかったと後になって思ったが、頭の中では不敵な笑みを浮かべる兄ちゃんで埋め尽くされていたのでそんな余裕はこれっぽっちも無い。
……恐る恐る顔を上げれば、そこにいたのは顔に傷のある兄ちゃんではなく、赤い襟巻きを首に巻いた和装の男の子がこちらをじっと見据えていた。
「＿＿あんた、誰？ここで何してんの」
視線を交わすなり、彼は警戒している様な鋭い声音を響かせた。
そのキリッとした切長な目はこちらを睨んでいるように見える。
私は石像の如く固まった。
威圧感のあまり、彼から目を逸らしたら死ぬと思った。
「新しい刀剣男士……ではなさそうだね」
じっと私を見ながらそう呟くと、彼は眉間に皺を寄せた。
そしてふいっとこちらに背を向けると、耳元のイヤリングを光らせながら歩き出した。
「……ついてきて」
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みや(プロフ) - 羅胤さん» 羅胤様、初めまして！ご感想いただきありがとうございます！とても嬉しいお言葉です。改善点も視野に入れ、更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年12月2日 15時) (
レス) id: 56bc8124d6 (このIDを非表示/違反報告)
羅胤(プロフ) - みや様、初めまして。本作を読ませていただいたものです。改行が多い点は気になりましたが、文章がとても上手く、物語に引き込まれてしまいました。これからも是非、更新を頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年12月2日 15時) (レス) id: 6b5b4b25ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや | 作成日時：2020年11月1日 0時
