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◇.




分かった、と返事をしようとした瞬間に台所から響く甲高い音。
タイミングよくお湯が沸いたのだ。


高い音を奏でる電気ポットのスイッチを押し、保温機能に切り替えると、言われた通り上杉は2つのポットを持ちティーテーブルと運んだ。



ティーテーブルは部屋の隅に置いてあり、メインの机よりは一回り小さい。


沢山の料理が並ぶメインテーブルと比べ、ケーキスタンドに並べられたマカロン等の小振りのお菓子が少しずつ盛られているこのテーブルは上品さが際立っていた。


机にはピーチティー、マスカットティー、アップルティー、レモンティーとフルーツ系の物を中心とした茶葉が沢山並んでいる。


ふと上杉は、以前彩がフルーツ系の紅茶が好きだと言っていたことを思い出した。

若武も同じことを思い出したのだろう、しかも今まで彩が飲んだことがあるであろう茶葉は全て用意されている辺り流石抜かりない。



「っし、そろそろ時間だな。」



若武の言葉に釣られ時計を見上げると、もうすぐ彩が来るであろう時間を指していた。


と、同時にピンポーン、という軽快な音が部屋に鳴り響いた。
音と同時に表示されるインターフォンのディスプレイには彩の姿が映っている。



「グッドタイミングだ。
よし、電気を消せ!」



若武の言葉に一番スイッチに近い美門が飛び付き電気を消した。

一見カーテンも閉められ暗く見えた室内。
しかし、次の瞬間に浮かび上がったのは幻想的な淡い灯火だった。


沢山の場所に配置されたキャンドルが作り出した世界。
風に揺れる火はゆらゆらと揺れ、その一瞬一瞬で違う景色を魅せる。


なんとも儚げなその空間に思わず全員か溜息を漏らした。


「アーヤ、今日は書斎じゃなくてリビングに来てくれ。」


はーい、という何も疑う様子のない彩の声。


彩の返事が聞こえてすぐに玄関の扉が開く音が鳴った。


「いいか、アーヤがここの扉を開けたらすぐクラッカーな。」


若武の言葉に頷く一同。
小塚はというと、緊張しているのか分からないがぎゅっとクラッカーを握りしめている。



「若武ー…?」


小さく囁く様な彩の声が響く。
全く物音がせず、且つ薄暗い廊下。
本来居るはずの若武の声どころか存在感さえない。

そんな空間に不安を抱いたのか、彩のフローリングを歩く足音が徐々に速くなった。



◇.

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清霞(プロフ) - はるはるさん» はるちゃーん( ; ; )有難う、楽しんでもらえたみたいで良かったです!コメント有難う* (2019年1月29日 21時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - さやかちゃん、ダリアの花束を贈る。完結お疲れ様です。どのお話も好みで、とても面白かったよ。更新される度にワクワクしながら読んでいました。本当にお疲れ様-* (2019年1月27日 20時) (レス) id: 91ccc51c14 (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - Wings(心渚)さん» みなちゃんありがとう、更新はめちゃめちゃ遅いけどのんびり待ってくれてると嬉しいです* (2018年12月25日 19時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)
Wings(心渚)(プロフ) - 清霞さん» やっぱこのお話好きだわ笑頑張ってね、応援してます。 (2018年12月25日 18時) (レス) id: ce1217488b (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - 沙也加さん» わー、ありがとうございます( ; ; )やっぱりkzのわちゃわちゃはいいですよね…!もっとわちゃわちゃシリーズを書けるように頑張ります、閲覧にコメント有難うございました* (2018年12月8日 14時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:清霞 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/somerina021/  
作成日時:2018年10月8日 10時

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