ダリアの花束を贈る。【KZ】

夏模様。 ページ1

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その出来事と言うのか、事件と言うのか。それが起きたのは七月下旬。

日に日に太陽の日差しが強くなり、外を歩くことさえ息苦しいような真夏日のことだった。



いつもなら夜に通る秀明へと続く道は幾分か涼しく感じるのだが、夏休みに入った今、その道を通る時間帯は真昼間から夕方にかけたときなため、まだ太陽の熱がこれでもかと言うほど降り注いでいる。


そのため、道を歩く人々は皆涼し気な服装をしている。
それは勿論、秀明の生徒もkzのメンバーも同じことであった。




夏休みに入り、普段の生活に少しの余裕ができたメンバーは、週に一度の頻度で集まっている。

夏バテに伴ってkzとしての活動に隙が出ると困る、という若武の言葉から、大した用事は無くてもこうして集まり雑談をして帰る、という何とも平和的な集合が生まれたのだ。


勿論、本来ならもう少し頻繁に集合をかけていただろう。
しかし、この気温の中わざわざ秀明のために足を運んだり、遠い若武の家まで汗をかいてまで向かうという行動は、なんとも億劫である。


このことから、全員が秀明に授業を受けに来ている日のみの集合となり、それは結果的に週に一度という形にすっかり落ち着いてしまっていたのだ。





そして、この日も一週間ぶりの集合日であった。

週一の集合と言うのは一見多いようにも感じるが、本人たちはどこか物足りなく感じる。


それは、同校同士も夏休みでは全く会うことがなく、特に美門や七鬼に関してはこの集合日以外メンバーとは誰とも会うことはないに等しい。


どこか物足りなく感じるのはそれが原因だろう。



そのため、それぞれがカフェテリアに向かう足取りはどこか軽く、何かを待ちわびている幼き子のような表情を浮かべている。






一足先にカフェテリアについていた黒木は、いつも通りに長い足を組んで悠々とアイスコーヒーを飲んでいた。


全身黒の衣服で包まれており、上には薄手のカーディガンも羽織っているため、どこか暑そうな格好ではあるが、それでも汗粒一つも浮かべない黒木は何故か涼し気な風が吹いているようにも感じる。


カフェテリア内には冷房も効いているため 外ほどは厚くないが、やはり長袖となると暑いに決まっている。


何故黒木はわざわざ上着を羽織るのか、不思議に思う若武や上杉だが、次第にどうでもよさそうに思い思いのままに時間を潰し始めた。




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