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センラside



「ちょ、Aちゃんとこのカップやばないですか?」


コーヒーカップに乗る、と意気揚々とAちゃんが乗り込んだ姿を思い出す。
邪魔をしたら悪いからとうらたんとAちゃんを同じカップに乗せ、あとの野郎3人でもう1台のカップに乗ることになったのだ。

コーヒーカップが好きだなんて、実年齢よりも幼く見えてなんとも可愛らしい。
...なんていうさっきまでの感情はどこへやら。どのカップよりも速く回る1台のカップから目が離せなくなる。あんなの、酔う以外の選択肢はなく、センラだったらひとたまりもない。

あーあ、うらたんご愁傷さま。

やはり降りてきた彼は気分が悪そうで、その隣でニコニコとしているAちゃんとの温度差は大層なものであった。
しかし、うらたんが彼女に気分が悪い所を見せるはずもなく、彼女はうらたんがまさか気分が悪いだなんて微塵も気づいていないように見えた。


「うらたんお疲れ様」

「ん。見てみろあの表情。なんか許せちまうから」


そう指さす先には子供のようにはしゃぐAちゃんの姿があった。
なるほど、うらたんと一緒でもテンションが上がった今、自然な笑顔ができているらしい。


「うらたんチョロいですねぇ」

「お前もアレ見たら許せるだろ」


うらたんは特に彼女からの対応が塩であるが故に許せてしまうのだろう。
しかしまぁ、元が良いせいもあり、あの笑顔には絆されてしまう気持ちもわからなくはない。


「楽しんでる?」

「はい」


ベンチに座る彼女の元へ歩み寄り、自分も隣に腰を下ろす。
幾分落ち着いたのか、先程までの満面の笑みは拝めずともまだいつもより表情が柔らかい。


「めっちゃコーヒーカップ回ってましたね」

「楽しくてつい...」


バツの悪そうな顔ですらこんなにも愛おしいのだから、自分はもう手遅れなのかもしれない。


「うらたんとはどうですか?」

「いつもよりかは話せてるはず、です」


いつにもなく嬉しそうに輝く瞳は胸を締め付けた。
どうしてこの子は俺のリスナーではないのだろうか。



___


「うらたんのこと好き?」


「何を今更。当然です」


「じゃあセンラのことは?」


彼女と服を選んだ日、問いかけた言葉が不意に蘇った。


「勿論好きですよ」


その時、今の自分では勝ち目がないことを悟ったのだ。
本人を目の前に好きだと伝えてもらえるうちは絶対ににうらたんへの好意の方が大きいのだから。




まぁそんなことで諦めてなんかやりませんけどね。

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- 初めまして、とても良い作品ですね。更新停止となっていますが、投稿されるまで待ちたいと思います。 (2020年1月16日 18時) (レス) id: 393bcdab68 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむ | 作成日時:2019年4月5日 21時

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