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待っている間、私達立花家は待合室の椅子で、思い思いの時間を過ごしていた。
パパとママと奈子はしりとり。
お兄ちゃんはスマホ。
そして私は妖怪パソコンを触っていた。

〈立花です。今、空港の待合室にいるよ。あと45分くらいで飛行機が出発するみたい。〉
忍の携帯にメールを打つ。
一分くらいするとなぜか画面が変わり、忍の優美な顔が映された。
「よ、立花。美門いるぜ。代わっていいか。」
ちょ、待って。今何でテレビ電話になったの?
私が返事をする前に翼の声が聴こえる。
「七鬼代わって」
翼に圧倒された忍が苦笑いをして、画面から消えた。
入れ替わりに端整で綺麗な顔が現れる。
「アーヤ!…七鬼、これ、本当に繋がっているの」
「繋がっているわけねぇじゃん」
疑う翼に笑みの含んだ声で忍が冗談を言う。
キラキラとした顔が、次第に不満じみた表情に変わっていくのが面白くて、私は笑ってしまった。
「あ、アーヤの声」
表情が一気に元に戻る。
くすっ。
「立花です」
翼はふと優しい顔になった。
「俺、アーヤの声聞いたから嬉しいかも」
「もう聞けないかと思って」
私は今思いついたことを口にする。
「ね、翼」
「何でしょ」
「良かったら、翼の携帯番号を教えてほしいな」
翼は微かに頬を染めた。
少しの沈黙。
「いや、駄目だったらいいけれど」
「連絡を取れたらいいかなぁと思って」
「もちろん。いいよ」
良かったー。
私は素早くメモ帳とボールペンを取り出す。
電話番号をメモした後に、少し談笑をして電源を切った。
時計を見ると15分経っていた。

ふぅと息を突き、立ち上がる。
「そろそろかな」
するといきなり、隣にいたお兄ちゃんが引きつった顔でこちらを見てきた。
「彩お前、さっきからブツブツ貝殻に向かって喋ったり、いきなりメモを取ったり…熱でもあるのか」
ない。多分。

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設定タグ:探偵チームkz事件ノート , シリアス   
作品ジャンル:泣ける話
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あやね - 続きか楽しみ!頑張ってください!!!! (2021年6月29日 17時) (レス) id: a6cd23a049 (このIDを非表示/違反報告)
なつ - 頑張ってください!!!!!!!!!!!!! (2020年9月22日 14時) (レス) id: 1879a9c3fe (このIDを非表示/違反報告)
- 次の更新が楽しみ。頑張ってください (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ec73e4055 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO - ファイトー (2018年2月18日 15時) (レス) id: 86b0647779 (このIDを非表示/違反報告)
ローラ - 続編、やってほしいです! (2018年2月10日 7時) (レス) id: 045ee1893e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マス | 作成日時:2017年10月15日 9時

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