私たちに愛はない【灰谷蘭】

encounter fromRan ページ46

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初めて出会ったbarの名前は未だに覚えてる。







もう既に、なくなったけど。















そこで出会ったAは、今まで見てきた女の中でも可愛い方で、最初は、今日はこいつでいいか、なんてそんな気持ちで話しかけた。









Aと会った時、そいつは俺の頭しか見てなかったけどな。















そうして、珍しく、体の関係も持たずに何回も酒を飲んだ。










Aの愚痴を聞いて、相談を聞いて、そうしているうちに、相手に先に惚れたのは俺だと思う。
















そこで問題だったのは、相手に結婚願望も恋愛願望もないことだった。







こいつを自分のものにするには？













他の男の目に触れさせず、最終的に、俺を好きになってしまうようにするには？













よく考えた結果、出た答えが恋愛をしない結婚をしようという提案だった。














したくない事はしなくていいけど、結婚をしろとうるさい親からは逃げられる。






Aが欲しい相手に決まってる。















まるで詐欺をしている気持ちでもあったけど、現実で詐欺まがいのことは何度だってしてきた。










罪悪感はなかった。







俺に、結婚をしなくてはいけない状況もなかった。













だけど、こうすればこいつは、名前だけでも俺の嫁になる。





そうなれば、後はしつこく、じっくりと、俺のものにするだけ。















そんな、俺の狂気的な気持ちは、一生伝えないけど。















｢･･･蘭？｣





｢んー？目ェ覚めた？｣





｢いつ、寝たっけ｣





｢俺と気持ちいいことしてる最中に飛んだんだろうが｣











寝ぼけたことを言うから、きちんと教えてやれば、顔を真っ赤にするA。








そう、そうやって恥ずかしがってるのもくそほど可愛い。













お前がいれば、子供も要らない。





お前との子供は嬉しいけど、お前だけで十分だって言うのは本音。












｢A｣





｢ん？｣





｢かわい｣





｢き、今日の蘭は、甘くて怖い！｣





｢怖くねぇよ｣













たとえお前が、今後俺から逃げようとしたって、ぜってぇ逃がさない。














最後まで俺が愛してあげる。



















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