見ちゃった[黒尾鉄朗]

見ちゃった7 ページ9

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「Aちゃん」


...気づかれたっ
私のちょっとした抵抗も虚しく終わる




「...どーも」

「そんなに俺のこと避けなくてもいいじゃん」

かなり冷たくあしらったはずなのに、まだ絡んでくるって、この人の神経は一体...

自分が嫌いだと思っているやつは大抵避けたくなる法則を知らんのか、少しは察してよ


こみ上げるイライラを頑張って抑える


「いえ、避けてるつもりはないんですが...気に障ったようなら謝ります」
「別に？...なんか俺に後ろめたいことでもあんのかな、と思って」

こんにゃろ...ッ

「全くもって身に覚えがありません」

苛立ちを抑えきれず、ついキッと睨み返してしまった

「まあまあ、そんな怒んなって...せっかくAちゃんのこと待っててあげたのに」
「頼んでません」

なんなんだまじで...頼むから帰らせてくれ、こっちは疲れきって早く寝たいんだよ

「失礼します」
早歩きでその場を後にする
相手をするのもバカバカしくなってきた









のに

「とりあえず、家まで送ってやるよ」


なんでついてくんのよ！！


「遠慮しときます」
「女が1人じゃ危ないだろ」
「結構です」
「いーじゃん」

よくない！！





「まあ、俺も色々聞きたいことあるし.........ちょっと付き合えって」
急に低くなる声と黒い笑み
また、あの感覚だ

「.......っ」
背筋がゾクってする



さっきの威勢はどこへやら、もうちょい頑張れよ、私

「.........」
「反論がないってことは、帰っていいってことで解釈していい？」ニコッ

またわざとらしい笑みが顔を出す

"負けた"

言い返せなくて、そっぽを向くしかない
「...」

なに気圧されてんだばか
案外私もちょろいな


...悔しい

「んっふふー♪」
こいつにまんまとはめられた気がしてならない

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