76.あっそ ページ26
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｢その昔に、戻りたいの？｣
また暫く沈黙を続けて、そう聞いた。
太郎くんは大人しく女子トークを聞いてるみたい。
気にしてない様子だけど、多分きちんと耳をすませてる。
｢･･･戻れないから、あの頃の私が持ってたものを持ってるあんたが嫌いなのかも｣
｢結局、なんで船降りたの？｣
私の質問に、相手が止まったことに気がついて
何よ？とそちらを向く。
相手は驚いたように私を見てる。
そんなに驚くような質問した？
｢みんなに、聞いてないの？｣
｢え？うん。船を下りるしかない事情があったみたいなことは言ってた気がするけど｣
｢･･･なんだ｣
私の回答に、ゆうちゃんは安心したような、喜んだような風に微笑んだ。
何が起こったのかは分からないけど
私の言葉に、彼女を喜ばせる何かがあったのか。
｢･･･私、夜兎と人間の混血なの。
もう結構、昔より弱くなってるよ｣
私の目なんて見ないけど、はっきりと、私に向けてそう語る。
混血、なんて生まれるものなのだろうか。
自分が夜兎だと認識してからも日は浅いし
私の知らない世界はまだまだある。
そんな存在、誰も教えてくれなかったな。
｢･･･私の一番のコンプレックス。
昔は、すごい強かった、強いはずだった。
でも、いつしか怪我が増えて、みんなの足を引っ張ってた｣
泣きそうな顔だった。
生まれは選べない。
物心ついた頃から親の顔も、自分の存在も知らない私のようなのもいる。
コンプレックスを背負って生きていくしかない、彼女のようなのもいる。
そうか、彼女の悩みだったから。
その性質自体が、夜兎と人間の混血であること自体が
この人の悩みで、コンプレックスで、嫌いなものだったから
だから、簡単に部外者には伝えられなかったんだ。
こんなやつがいるんだと簡単に、私に言えなかったんだ。
夜兎のくせに、優しい奴らばっか。
結局、この人へのみんなの愛情は消えることは無かったし
今でもみんな、この人が好きなわけだ。
阿伏兎の心は見つけられたのに
妙に負けた気分になって、惨めに感じた。
だから、私も彼女と同じように
｢･･･あっそ｣
そう答えた。
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あい(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます！予想に反することが出来て嬉しいです！こちらこそ、ご愛読ありがとうございました！ (2021年10月21日 3時) (
レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 完結おめでとうございます！いつも予想外の面白い展開で楽しみに待ってました！とても面白かったです！ありがとうございました！ (2021年10月19日 21時) (レス) @page32 id: b22efef821 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - うさぎさん» またまたコメントありがとうございます！無事完結させることが出来ました！是非次作も楽しみにしててください！ありがとうございました！ (2021年10月19日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - またまたコメント失礼します！ 完結、おめでとうございます(*^o^*)作品更新の通知が来るたびに\(//∇//)\ってなってたので笑 少し寂しいようにも感じますが、これからも主様の作品を読んで、元気を貰おうと思います‼︎ (2021年10月18日 21時) (レス) @page32 id: d1ce909995 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！お待たせしましたー！ (2021年8月30日 23時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2021年8月30日 10時
