46.大人 ページ46
･
｢私は･･･｣
その次の言葉を聞こうと耳を傾けたのに
聞こえてきた声は聞きなれた団長の声。
｢ゆう？何してるの？｣
｢神威･･･阿伏兎･･･｣
｢ここはAの部屋だろ？
Aにお前が用があるようには思えないけど？｣
どこか牽制するような話し方。
団長と阿伏兎の登場に、なんだか心底安心した。
こんな逃げ場のない場所であんなことされたら驚くに決まってる。
あの目、しばらくは見たくない。
あんな生気のない目、久しぶりに見た。
｢前は私の部屋だったし、ドアが壊れてたから｣
｢ここは今はAの部屋、ほら、行くよ｣
何よ、私に心が狭いなんて言ってきたくせに
こういう時はなんだか味方しているみたいじゃない。
｢･･･はぁ、団長、ちゃんと修理してよ。
そこのドアとそこのドア｣
｢明日にでも誰かにやらせるよ｣
｢自己責任でしょ｣
｢団長は忙しい身なんだ｣
｢団長の仕事してんの？団長様｣
｢そりゃもうてからこぼれ落ちるほどにね｣
｢あんたの場合はこぼしすぎてもう何も持ってないでしょ｣
酷いなぁ、そう言う神威に
ゆうちゃんは、早く行こう、と神威を引っ張る。
私は、もう既に腹を括ったように
私に対する未練をあまり感じさせない、たまに来る阿伏兎からの視線から逃げる。
それから、あぁ、この子、今のもしかしたら確信犯だ、と疑う。
少し心に余裕が出てきたのか。
でも、阿伏兎と別れた今、私に何をして欲しいのかさっぱり。
私と周りに仲良くして欲しくないのは今のでよく分かったけど
あなたの方が、よっぽど仲良いんじゃないの？
悶々と考える私を横目に、団長とゆうちゃんは歩いていって
阿伏兎が1人、遅れて歩き出そうとする。
｢A｣
話しかけられて、多分、わかりやすく方がはねた。
ん？と、言おうとしたのに、かすれた声すら緊張で出ない。
｢明日は仕事しろよ｣
そう言った阿伏兎は、私の知ってる、大人な阿伏兎。
ほら、あなたはやっぱり大人だから、
すぐに、何事もなかったかのように、仕事を一緒に始めるの。
｢･･･うん｣
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます！やる気が出てきました！！これからもよろしくお願いします！ (2021年8月24日 0時) (
レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 少しずつ展開してきて、次どうなるのかな？(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))と、ワクワクしながら見ています！これからも頑張ってください！ (2021年8月23日 21時) (レス) id: b22efef821 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます！私もこういうジャンル好きですよ笑結局かい！という展開になりたくないので、ご期待に応えられるよう頑張りますね！これからもよろしくお願いします！ (2021年8月23日 1時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - めっっっちゃ好きです。性格歪んでるとか思われそうなだけど恋人と喧嘩する系好きなんですよね。でも他のやつはたいがい男が謝って私も悪かったごめんとか言って終わりなのうざって思ってたから久々喧嘩系で面白いと思いました。(日本語下手だけど許して) (2021年8月23日 1時) (レス) id: d87fc83b21 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - さくらんぼんさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！これからもよろしくお願いしますー！ (2021年8月20日 18時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2021年8月12日 22時
