真選組女隊士[銀魂] 2

57.腹が立つ ページ7

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逃げ出してから何日経ったか。


さすがに同じ着物ではいられないから

近藤さんに警戒しながらお妙さんに着物を借りに行ったり、

自分で新しいものを買ったりした。


寝泊まりする場所なんてないし

足がつくのも困るから野宿やネカフェが多かった。


お金はいくらでもあったし

お腹がすけばなんかを食べて、って感じ。


あちこちに私の顔の描かれた張り紙がある。


あーあ、そんなに連れ戻したい？


怖いなぁー。


自分の息が荒いことに、気付かないふりをする。


薬、飲んでないの何日目だっけ。

胃がムカムカする。


分かってる、病院に行けばいいだけ。


でも、いるんだよ、土方さんが。


私が病院に行くと踏んでる。


いつもの病院じゃなかったらあの薬はない。

いつか取りに行かないといけない、そうは思っていた。


死のうと思って逃げたわけじゃないし。


でも、土方さんには会いたくない。


何より、逃亡を続けたせいか、

自分でも何をしているのかわからなくなった。


このまま生きるくらいなら、死んでもいいと、思った。


視界に真選組の隊服が映る。


反射的に路地裏に隠れる。


もういいじゃん、こんだけ探していないんだから諦めなよ。

私別に機密情報売ったりしないよー？


はは、と乾いた笑いが零れた。


急に目の前に影が入って

顔をあげれば、そこには攘夷志士と思われる侍。


嘘でしょ。

死にそうだって言ってんのに。



｢見逃してくんない？｣


｢我らのシマに入ってきたのが運の尽き。

真選組隊長補佐とお見受けする｣


｢見てる？あの張り紙。

私今お尋ね者だって。もう違うからさ｣


｢真選組の弱みでも吐いてもらおうか｣


｢話聞いてる？

もしもーし、とかしちゃうよ？私。

蝶々飛ばしちゃうよ？ん？｣


｢吐くか死ぬか、選ばせてやろう｣


｢どっちみち殺されるでしょそれ。

やだよ、言うわけないじゃんばーかばーかしねー｣


｢ならばここで殺すのみ！｣



少しずつ増えていた敵が刀を振るう。


だるいな。

殺さなくても死ぬよ、ほっといたら。


そう思いながらも、攘夷志士に殺されるのは癪で。


私も背中に隠していた剣を抜いた。

訓練もしてなかったからなぁ。


と、どこか重く感じる刀を振り回す。


そんな軸の緩んだ刀を私に向けるなよ。


あの子を思い出す。

腹が立つ。


私から居場所を奪い、被害者ぶったあの顔が

今でも何故か、可愛い後輩に見えてしまう。


腹が立つ。





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