真選組女隊士[銀魂] 2

94.手錠 ページ46

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｢うぅ･･･｣



そんな、情けない声を出して、涙が零れた。



｢その簪･･･｣



ようやく気が付いたのか、土方さんが、そう声を出す。


総悟は、また私の前に立つ。


腹が立つのに、これ以上そいつに近づけないのは

本能的に、こいつに恐怖心を抱いているからかなんなのか。



｢･･･な、泣くなんてそんなに ･･･だ、だめだよ、興奮しちゃ･･･｣



言い切る前に、誰かが田中(仮)の口を塞いだ。


気持ち悪い。

こんな人が、実際に世の中にいることが、気持ち悪い。

その対象になった自分すら気持ち悪い。

そんなことよりも、この簪を、こんなやつに盗まれていたのが気持ち悪い。



｢･･･殺しちまいやしょうよ｣


｢･･･あのな、｣


｢バレやしやせんよ、隊士1人死んだって

ここにいる全員、いつ死んだって、死に方なんかバレやしやせんよ｣



怒った雰囲気の総悟のその言葉に、土方さんが止まった。


考えてる、殺ってしまおうかと、悩んでる。


それはダメだ、止めないと、そう思って

総悟の腕を引っ張った。


ズタボロなのに、この人たちのストッパーは私だ。

世話が焼けるなぁ。



｢だめだよ｣


｢何いってんでィ。優しいいい子ちゃんのふりかィ？

おめぇには向いてねぇよ｣


｢いい子ちゃんて･･･。

そうじゃなくて、私たちは侍だよ。

自分たちで作った道を踏み外すのは、しちゃいけない。どんな理由があっても｣



ね？と、総悟の腕をもう一度引いた。


私に守って貰えたとでも思ったのか田中(仮)は顔を明るくしたけれど。


私はそれに向かって、蔑むような視線を送った。



｢それ相応の罰を、しっかり受けて、精神科に入院でもしたらいいと思うよ｣


｢え･･･｣



私の言葉を聞いて、我に返った土方さんも

はぁ、とため息をついて、田中(仮)に手錠をかけた。


最初からそうしろよ、とは言わなかった。

自分で痛めつけたかったんだろう。多分。


私のこと大好きだから。





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