真選組女隊士[銀魂] 2

89.怖い ページ41

･




あ、やばい。


ﾋｭｯと喉が鳴って、急いで布団から出たはいいものの

タンスにぶつかって、足に力が入らなくて、それ以上進めない。


これ、今入ってきたら、何される？


･･･もっと防御力高めの部屋にしてもらえばよかった。

屯所だからと安心しすぎたかも。


これは、酷くまずいぞ。


音はしない、でも、確かにそこにいる。


ずっと、気配を感じる。


強気の私は消えて、恐怖心に捕われる。

震える右手を左手で包んでから、左手も震えていることに気づいた。


あぁこれは、思っていたよりもずっも、やばかったんじゃ･･･？


大丈夫と言い聞かせてきて1ヶ月。

そういえば考え込んで寝れない日や、心配で食べれない日があった気がする。

恐怖心から、屯所に戻って吐いたこともあったか？


体の異変すら無視する私やっべぇ。


総悟が、帰ってくるはず。

大丈夫、総悟が絶対、帰ってくる。


目を瞑った。

何が来ても怖くないように。


いつでも刀を抜けるようにと、手に取ろうとしたけど

手が震えて、握れない。


あれ？私、こんなに･･･。


そこまで考えて、呑気に総悟が部屋に入ってくる音がした。


私は急いで目を開けて、そちらを振り向いた。


総悟は目に涙をめいっぱい溜めた私を見て

薬や水の置いてあるお盆をその場に落とし、私に駆け寄ってくる。


そんな総悟に心底安心して

駆け寄ってくる総悟に手を伸ばして、総悟はそんな私を抱き抱える。



｢走って･･･ここから出して｣



掠れた声で、総悟の耳元でそう言えば

総悟は急いで部屋から出て、土方さんの部屋に向かう。


こういう時、なんだかんだ土方さんにまず報告に行くところ

あんたらって結局兄弟みたいだなって、思うなぁ。



｢おいでけぇ音出すな･･･A？｣


｢緊急事態でさァ｣


｢A？どうした？｣



安心からか、ぼろぼろと止まらない涙を必死に拭う私の手を止めて

総悟は腕の中の私と一緒にゆっくり揺れる。

背中をとんとんとされると、次第に呼吸も涙も落ち着いていく。


大丈夫、この2人がいて怖いものなんかない。

大丈夫。







･

90.あれ？→←88.違和感

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す