真選組女隊士[銀魂] 2

77.姉さん ページ29

･土方十四郎･




｢えぇ？！Aちゃん？！｣



全員が目を見開いてそう叫ぶのに、

その反応はもう要らねぇよと声を上げた。


周りに沢山人がいることには疑問を抱かないのか、

総悟に抱っこされ、ボーっとしてるAに目を移す。


子供ながらに何かを考えてる、昔からそんな表情をしてた。



｢誰かこいつに変な薬飲ませてねぇかィ｣


｢なんか変なもん食わせたり｣



俺と総悟の言葉に、全員が首を傾げる。


Aは餌付けされやすいが、餌付けする隊士がAに変なもんを食わせるとは到底思えねぇ。

AもAで、何でもかんでも口にするか？

･･･腹減ってたら何するかわかんねぇな。



｢外部からの仕業の可能性もあるわけか｣


｢だとしたら困ったことになりましたねィ｣


｢総ちゃん、姉さんはー？｣



その言葉に、その場が静まりかえる。

俺や総悟ですら動揺してしちまった。


すぐに、まずい、と思い口を開こうとする。


こいつは特に、空気に敏感な子供だった。


焦って口を開こうとする俺より先に、近藤さんが口を開く。



｢A、寝ぼけてたな？

今日はちょっと遠いところでたくさんの人と稽古だぞ？｣


｢･･･そうだっけ？

だから総ちゃんは大きくなったの？｣


｢まぁねィ｣


｢ふーん！おうちに帰ったら、姉さんとあやとりするの｣



約束したんだー、と笑うAに胸が締め付けられそうになった。


本来の姿のAも、本当はこんくらいなんじゃねぇか

そんな気持ちがモヤモヤと俺を襲う。


そんなわけねぇ、精神年齢は高い方だ。


だが、昔の方がよっぽど、自分の気持ちを伝えてくれてた。





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