真選組女隊士[銀魂] 2

64.後輩 ページ14

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｢最初から、あなた達に会いたかった｣


｢バカ言わないで。

あんたが隣にいたら私がブサイクに見えるでしょ｣



そんなもん、こっちからお断りだね、と吐き捨てる。


私のそんな態度に、今日1番人間らしい笑顔を見せた。


やめてよ、そんな風に笑うの。

やめてよ、死ぬ覚悟ができた人間の目をするの。



｢あぁでも、やっと生きることから開放される｣



たった1人戦い続けてきたお嬢ちゃんは、

きっと本当は昔から死んでいて。


ものとして扱われ続け

最後まで味方など出来なかった。


一度味わった味方という言葉に

この子はどれだけ揺らぎ、絶望したんだろう。


顔にある大きな痣は

失敗により殴られた跡か、転んだだけか。



｢どうだった？真選組体験｣


｢･･･クソだったよ｣


｢あんたの口からそんな言葉出るの･･･？やめてよ印象崩れる｣



そこら辺にいた死体から剣を抜いた。


血を払って、お嬢ちゃんにゆっくりと近づいた。



｢楽しかったって、嬉しかったって言いなさいよ｣


｢･･･クソみたいに、幸せだった｣



一筋流れたお嬢ちゃんの涙に

心臓が苦しくなった。


違う形で出会えていれば、なんてよくある表現で

でも、確かにそうなら、きっと全てが変わってた。


お嬢ちゃんに、私の刀を投げた。



｢立て。一度武士道に触れたんだ。

最後まで、剣士として生きな｣



私の言葉に、目を見開いて、また、ふっと笑った。


刀を手に持ったお嬢ちゃんは

やっぱり刀なんて似合わないただのお嬢ちゃん。


姿勢を正し、剣を構えたお嬢ちゃんは

たしかに、私が教えた武士道を、きちんと背中に背負ってる。



｢太刀筋を安定させろ。

震えるな。相手を捉えたら、立ち向かえ｣



何度も見た、ぶれた太刀筋。


何度も受けた、猪突猛進な走り方。


今までで1番、ブレブレじゃんか。


まっすぐ刀を振った。


今日倒した誰よりも、弱かった。



｢ごめん｣



できるだけ簡単に死ねるように、

だからと言って、綺麗を保てるように。


痛かっただろうな、難しかった。


まだ少し、呼吸があるけれど

彼女の意識は既になくて、このまま死にゆくのだと悟る。



｢腕、落ちたんじゃねぇのか｣


｢んね、ブレブレだ｣



私の教えた剣を、私の教えた通りに

一生懸命振り下ろしたあんたは、立派な私の後輩だよ。


何となく勘づいていたお嬢ちゃんの過去、

それに触れたら余計に、あんたを好きになっちゃった。



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