真選組女隊士[銀魂] 2

63.味方 ページ13

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その場に着いた時、そこは既に乱闘中だった。



｢話と違うんだけど｣



次々となだれ込んでくる敵を倒しながら前に進む。


仲間だった奴らの狂気じみたその瞳。

どこで間違えたのか、どうして止められなかったのか。


仲間すら、無心で倒す自分に嫌気がさした。


前に進むにつれ、血の匂いが濃くなった。

仲間の血か、敵の血か。


混濁した中で、今まで以上に気持ちが悪かった。


やっと、土方さんと近藤さんを見つけた時、

私は心から、安心した。



｢どういう状況ですか｣


｢敵に行動がバレてたらしい。

･･･お前はここ片付けろ｣



そう言われて、冷静になって部屋を見渡せば

1つ奥に扉があった。


そうか、そこに居るのか。


私は土方さんの命令を無視して、まっすぐそこに向かった。



｢おい！｣


｢ケジメつけなきゃ｣



私の言葉に、土方さんは何も言わなかった。

止めることも、しなかった。


スっとそこを開けると、

そこには見覚えのある可愛い女性が1人、佇んでいた。


お世辞にも綺麗とは言えない着物に身を包み

その着物が余計に見栄え悪くなる、綺麗な顔立ち。



｢お嬢ちゃん｣


｢あなたが来たの･･･｣


｢もう、あんたの味方はここにはいないよ｣


｢･･･最初から、私に味方なんていなかったよ。

幹部は逃げた、どこに行ったかは知らない｣


｢あんたを置いて？｣


｢私は生まれた時から、ただの囮｣



戦意もクソもない、そのぼうっとした瞳。


もとより、何も信じてこなかった人間の末路。



｢何が目的だったの｣


｢真選組を落としたかった。

その為には、内部から削るしかない｣



でも、そう繋げた時

彼女の瞳が少し光った気がした。



｢あなた達の中に崩せる場所なんてなかった｣



意識の弱い、荒んだ笑顔。


それすらも、この子は綺麗なんだ。



｢あんたのせいで大勢の仲間を切ったよ｣


｢弱いやつしか、着いてこなかった｣


｢あんたのせいで、あんたは死ぬよ｣


｢あなたに殺されるの？｣


｢･･･なんで、こっち側だったの｣


｢分かんないよ。あんたみたいな贅沢者には。

親の顔なんて見た事ないもの。

仲間なんでできたことないもの。

ただ、生きたかっただけなの｣



眉を八の字にして

また、フッ、と笑うお嬢ちゃん。


生きるために、命をかけてきた。

それは、正義とはお世辞にも言えなかった。


けれど、生きるための立派な行為だった。



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