10.願い ページ10
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目が覚めたのは、病院のベッドの上だった。
嗅ぎ覚えのある病院の匂い。
腕に繋がれた点滴。
そばに居た土方さん。
「すみません、迷惑かけて」
「目覚めて一言目がそれか。んなこたどうでもいい。
・・・どっか悪いのか」
「いや、そんなんじゃないと思うんですけど」
お医者さんを読んでくれた土方さんと話す。
こんなのは初めてだし
何より受診自体してこなかった。
こんなところに来たのは、銀時が怪我した時以来だ。
「・・・銀時には」
「言ってねぇよ。そもそもあいつとの連絡手段がねぇからな」
「ですよね、よかった」
「・・・心配、掛けりゃいいんじゃねぇのか」
「・・・そうですよね、きっと全部受け止めてくれる。
でも、なんだか言っちゃいけない気がしたんです」
言おうとはした。
何度も。
けれど、毎回思ったんだ、今じゃない、って。
私になにか言おうと口を開いた土方さんは
お医者さんの登場で口を閉じた。
外で待ってる、そう言った土方さんは優しい。
プライバシーを守ろうとしてくれて、
何かあっても、そばに居てくれようとしていて
何もなくても、安心させてくれようとしてるんだろう。
何も、なければいいな。
そう思う私の願いに、神様はきっと気づいてくれなかった。
たった1人の小さな願いは誰にも見つからず
「難病です。・・・いや、不治の病と言った方がいいでしょう」
お医者さんの、そんな言葉で、一気に何かが崩れ落ちた。
・・・死ぬのか、私。
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うさきよ - 感動して、涙ぐんでしまいました…。すごく良いお話です!! (7月27日 1時) (レス) @page39 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても良かったです! (2022年12月14日 17時) (レス) @page48 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - rusa737さん» コメントありがとうございます!面白いけれどやっぱりバッドエンドに当たるので少ない設定ですよね…今後の新作にもまた活用させていただきます!ありがとうございます! (2021年5月8日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
rusa737(プロフ) - 通学の電車の中で読んでたんですけどめっちゃ感動しました…!夢主がしぬ設定好きなんですけど余り無いから新鮮かつめっちゃどストライクに刺さりました!!!これからも応援してます…! (2021年5月7日 17時) (レス) id: 34286106cd (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 常夏さん» コメントありがとうございます!完結もありがとうございました!わーい!桜ちゃんが出てくる回も気になりますよねぇ!良く考えてみます!! (2021年4月4日 20時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年3月1日 0時