私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

41.昼寝 ページ42

･土方十四郎･




｢桜、おいで｣



俺の呼び掛けにすぐヨタヨタとこっちに歩いてくる桜。


無口な方だが、誰よりも賢い。

ガキを多く見てきたわけじゃねぇが、そう思う。



｢マヨ、｣


｢マヨじゃねぇっ。･･･トシ、だトシ｣



なんと呼ばれたいのかと聞かれると

それはそれで言葉に詰まった。


土方さんは堅苦しいし

こんなガキにそんな呼ばせ方させたくねぇし。


じゃあ十四郎と言われればそれもそれで困る。


だがマヨは1番嫌だ。

マヨは好きだが俺は断じてマヨじゃない。


どう考えてもあの金欠天パの躾だな。


一番しっくりきたのがトシだった。


トシって呼ぶやつなんざそう居ねぇが

こいつが今後トシって呼ぶのがなんだか1番しっくりきた。



｢トシ、こぇ｣



あい、っと渡してきたそれは

ピンク色の小さな花だった。


ん？と言いながらそれを受け取れば

満足したようににっこりと笑って、俺の膝の上で寝る体勢を作った。



｢おい、こんなとこで寝んな。

体痛くなんだろ｣



万事屋の仕事の都合で預かった桜。


こんなことは度々ある。


それもこれも、Aに頼まれてなかったらやってなかったが。


万事屋に預かった桜の布団に寝かせようとするが



｢やっ、やーだっ｣



どうも嫌がる。


つっても、俺も俺でまだ仕事があるわけで。


たが、普段からあまりわがままを言わない桜の言うことも聞きたい。


できるだけ体が痛くならないよう配慮して

膝の上で寝かしつける。


意外と簡単に寝た桜はかなり眠かったらしい。


スースーと寝息を立てる姿に頬が緩む。



｢何見てんでィ気持ちわりぃなロリコン上司が｣


｢なっ･･･｣



急な総悟の登場に思わずでけぇ声が出た。


咄嗟に桜を見れば、

何も変わらず寝ている姿で安心。



｢起きるじゃねぇかィ｣


｢誰のせいだ誰の｣



はぁ、とため息を付いて筆を持つ。


総悟は膝の上の桜の頬をつんつんとつつく。

かなり年の離れた兄弟だな。



｢土方さんのそばに居たら副流煙で死んでしまいまさァ｣


｢吸ってねぇよ｣


｢え？｣


｢昔より、吸ってねぇよ｣


｢土方さんが赤ん坊のためにタバコをやめたんですかィ｣



すげぇや、お前はすげぇぞ桜、そう言って桜の頬をつつき続ける総悟。


起きるからやめろと手をはたく。


暫く仕事を続けて、ふと桜の方を見ればずっと寝てて、

その頬に触れている総悟も幼い顔で昼寝中。

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