私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

23.決意 ページ23

･A･




｢･･･沖田くん？｣



ある日、目が覚めると、そこには土方さんと沖田くんがいた。


私の名前を元気に呼ぶ彼は一見何も変わってない。

でも、目元が腫れてる。


きっと泣いたんだ。



｢すまねぇ、つけられてたらしくてな｣


｢さすが、副長の座を狙ってるだけあって

土方さんのことよく見てるんだね｣


｢当たり前でさァ！｣


｢･･･驚いた？｣



無意識にえへへと笑う私に沖田くんは表情を曇らせた。


静かに頷く彼に胸が締め付けられた。


土方さんも沖田くんも、大切な人を亡くしたことがあると聞いた。

こんな姿、その人に重ねてしまうだろうに。



｢旦那には、言わねぇんですかィ｣



その言葉に、少し笑って頷いて見せた。



｢ほんとに、それでいいんですかィ？


それじゃあただ、Aさんが我慢してるだけでィ｣


｢･･･正解なんてないんだよ。

でも私は、何よりあの人が傷つくのが嫌なの｣


｢もう、十分互いに傷ついたんじゃねぇですかィ｣



傷ついたよ。


沢山泣いて、笑えなくてあなたを想って。


でも私、あなたにあったら、あなたと話したら、

全部ぶちまけてダメになる。


あなたはきっと、全て受け止めてくれるから。


全て吸収してくれるから。


甘えてしまう。


そして最後に、私は死ぬ。


全てをあなたに預けたまんま

あなたを傷つけたまんまにしてしまう。


怖いんだ。全部。



｢なんでかな。

私、この世界に本当に、自分より大切にしたい人がいるなんて、昔は思わなかったのに。


結局みんな、自分が一番だと思ってた。


でも、私が犠牲になってでも、私はあの人を傷つけたくない｣



それは、揺るぎそうで揺るがない決意で。


あなたに会えば簡単に崩れ落ちる決意だった。





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