私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

16.子供 ページ16

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病院に着いた時、

ぼろぼろであっただろう私の顔を見ても

顔色ひとつ変えずに、看護師さんもお医者さんも対応してくれた。


私は、もうそんなこと考えてる暇なんてなくて、

ボロボロな自分を晒したまま、検査を受けた。



｢･･･少し弱ってきてますが、まだ大丈夫です。

ただ｣


｢･･･なんですか｣



もう、どこがどうなってようとどうだって良かった。


呼吸ができまいが、尿を出せまいが。


私に、これ以上失うものはなかった。



｢妊娠してるんです。4週目です｣



少し、言いずらそうだったその言葉に、私は驚いてしまった。


もう何もかもどうでもいいと思っていた数秒前。

今、無意識に自分の腹部に触れた。



｢･･･赤ちゃん？｣


｢はい、でも、出産と同時に息を引き取るリスクが大幅に｣


｢産みます｣



考えられなかった。


両親のいないその子の将来も

1人になるかもしれないその子の未来も。


その時の私には、考えられなかった。


ただ、銀時との子供。


それだけで良かった。


そして直ぐに、

その子に、世界を見せてあげたいと思った。


私の見てきた、おかしな世界を。


吉原にいるキセルの似合う女の人や

刀を振るう、かっこいい男の人、

メガネのおかしなストーカーのこと、

怪力で頼れるお姉さんのこと、

いわゆるチンピラ警察の真選組のこと、

おバカな天パ率いる万事屋のこと、

もっともっと、色んなことを、

私が見れない分、この子に見て欲しかった。


もちろん、銀時にバレてはいけないけれど、

私が知らなかったそんなおかしな世界を

この子にも知って欲しかった。


死ぬと決まった命を、この子にかけたかった。


銀時との、子供に。




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