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33、一筋縄 ページ33






吐いた血か、怪我した血か

もう分からないけど、赤いなぁ。


白い病院で息を引き取るとか、夢だったんだけど。


ぼやぼやするなぁ。

それになんか、寒い。


そんな意識の中、騒がしい足音が聞こえる。


あれ、旦那、なんか忘れ物かな。


私まだ意識あるし、ちょっとなら毒吸ったって、簡単に死なないかも。

急いで、って、言わないと。


大の字になっていた体を半分起こそうとしたけど

もう既にそんなことも出来なくて

頭を動かした。


思い切り戸が開いて、

そんなことしたら屯所に毒が広がるじゃない、って。




「A!!!」


「あ・・・ぇ、ひ、かたさ」



入ってきたのは旦那じゃなくて

なぜか、土方さん。



ゲボっと血が出て

土方さんの目が見開かれるのが見えた。


ダメだよ。


ミツバ姉さんのこと、思い出させちゃう。


必死に口角を上げた。


でも、土方さんを見たら安心して

苦しくて、痛くて辛くて、死にたくなくて、目から雫が飛び出した。


土方さんは私を引っ張り出して、戸を閉めて

私を隊服で包んで抱き上げて走る。


あの毒、どうするんだろ。

しばらくしたら効果無くなるのかな。


どれくらいの範囲に広がるんだろ。


途中、栗色の髪が並んで来たのが見えた。



「・・・なに、心中、でもす、んの」


「バカ言ってんじゃねェ、誰が」


「・・・誰も死なねぇよ」


「はは、か、っけぇ、や」



喉が、肺がやけるように痛い。

咳き込む度に血が出て。


口の中に独特な鉄の味が広がる。



「っ、はぁ、よ、ろず、やと、たいきは、んは・・・?」


「全員無事だ、いいから黙ってろ。

てめぇの心配しろ」


「誰でィ、バカ兄貴置いて死ねないっつったの」


「フラグ、かいしゅ、ゲボっ」


「喋んな!」



血管浮かび上がった土方さんが怒鳴る。


へへ、って、笑いが出た。


いつも通り、だな。って。


あぁ、ねむ。

また眠い。


でも、今度こそ寝たら、死ぬなぁ。


それは、せっかく助かったのに、やだなぁ。


なんだってんだ。


なんだよ、真選組女隊士危機編って。

私主人公なのに、なんで私死にそうなんだよ。


あー、あのドブスに言ってやるの忘れたな。


私が死んだって

てめぇみたいな性格ドブス、こいつらは好きにならねぇよって。


私のバカ兄貴共の方がよっぽど、一筋縄でいかないんだから。



「・・・そ、ご、つねっ、てくんな、い?・・・寝そ」


「寝るな死ぬぞ」



だから、言ってんだ、ばか。

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あい(プロフ) - eight40094さん» コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー! (2021年2月9日 7時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
eight40094(プロフ) - あぁ、早く続きが見たいです!忙しいと思いますが、作者様頑張ってください! (2021年2月9日 3時) (レス) id: c00f201ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年1月30日 23時

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