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38、大切 ページ38






「あ、旦那!」



あれから暫く、解毒も終わり、

なまった体のリハビリもいい調子になった頃。


散歩だ散歩だと院内を歩き回っていた私。


まず目に入ったのは木刀。

洞爺湖と書かれているんだろうそれには見覚えがあった。


それから天パ、銀髪。

旦那でしかないよね。


おーい!と手を振って駆けていこうとすると

私を見つけて逃げる旦那。


え、ひどい。


なんで?!と叫んだ私も旦那を追いかけるべく走る走る。


リハビリしてるからって、体は重いままなのに。

旦那ったら。



「これでも怪我人なんですけどー!」


「じゃあ追いかけてくんな!」


「なんで逃げるんですかー!」



追いかけっこは少し続いて、私は旦那を見失った。


肩で息をしながら、旦那を探す。


ほんとにかくれんぼになっちゃった。

土方さんが言ってた通りじゃん。


あー、汗かいた。


自販機に行こうと向かった時

私以外の荒い呼吸が聞こえた。


ここら辺か、と自販機にお金を入れながら周りをこっそり見る。


隠れられそうなのは右側にある物陰くらい。


私は水と紙パックのいちご牛乳を仕方なく買ってそっちへ向かう。



「かくれんぼは、隠れられそうなとこがいっぱいあるとこに隠れなきゃ。

ここしか隠れる場所無かったら見つかりますよ」


「・・・はぁ」



はい、といちご牛乳を差し出せば

何も言わずに奪ってストローを指す。


やっぱでかいから紙パックだと少なそうだな。



「んで、なんで逃げるんです」


「・・・逆に、どの面下げて正面から会えんだよ」


「そうやって、何回も病院に来ては帰ってたんですか?」


「まぁな」


「・・・私でも、同じ判断をしましたよ。

あそこにいたのが神楽ちゃんや、新八くんじゃなくても。


1人の犠牲と、大切な人の犠牲じゃ

言っちゃ悪いけど命の価値が違うってんです。


間違った選択じゃなかった。

実際私は死んでない。結果オーライじゃないですか」



ほれほれー、とちょっと詰めてもらい

物陰に私も潜んだ。


悲しそうとか、辛そうとか、この人はそんな顔見せないし

今もまさに死んだ魚の目をしているけど、

実は結構、罪悪感に飲まれてるんだろうな。


不器用な人だなぁ。



「俺にとっちゃよ、お前もその大切っつーのに入んだ。

でも、やっぱあいつらが1番でよ。


でも、お前をその1番に入れてる奴だって世界にはいんのにな」



難しいこたァ嫌いだ。

そう俯いた旦那がなんだか小さい。


39、真選組女隊士危機編ー完→←37、地獄



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あい(プロフ) - eight40094さん» コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー! (2021年2月9日 7時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
eight40094(プロフ) - あぁ、早く続きが見たいです!忙しいと思いますが、作者様頑張ってください! (2021年2月9日 3時) (レス) id: c00f201ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年1月30日 23時

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