真選組女隊士[銀魂] 3

105.偽物 ページ10

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1人脳内でパニックを起こしていれば

ガチャり、とドアの開く音がして、反射的にそちらを見た。


高価そうな着物に身を包んだ、細身のお兄さん。

うわ･･･イケメンかも。


いや、そうじゃない。



｢･･･誰｣


｢･･･俺も、忘れたのか？｣



酷くショックを受けている顔をしたのを見て

もしかして、お頭？妹を亡くして傷心中の？とハッとする


あの眼鏡、ほんとに私を妹に仕立て上げたわけ･･･。



｢えっ、と･･･｣



どうしたらいい？


妹じゃねぇぞと怒鳴り声を上げてもいいけど

そうすると自分の身が危ない。


刃物ひとつ置いていないこの部屋で

相手が何を持っているかも分からないのに、下手に動けない。


妹になりきるしかないか･･･。



｢私･･･｣


｢兄さんだ、お前の｣


｢･･･兄さん｣



やだな、なんか。

私の兄妹は、他にいるのに。


それでも、私は、真選組隊士だ。



｢兄さん｣


｢ん？･･･御本でも読むか？それとも、マリで遊ぶか？｣


｢御本を読んでくれるの･･･？｣


｢あぁ、いくらだって読む。何がいい？｣



そうして、偽物の妹として、妹の振りを始めた。


お頭の読む本は

裏社会のお頭が読んでいるようには見えないほどメルヘンチック。

読み方はとても優しくて、まるで本当の妹にでもなった気分。


余程、妹のことが好きだったのだとわかるけど

実際は、その妹はもういない。


情がわくかと言われたら、そんな事は無い。


妹を探すために、女を攫う、そこまではまだ守りようがあるけれど。

その後、薬漬けにして女を売り飛ばしていることも

身寄りのない人間の解体も、弁護しようがない。


だから、私は、別にこの男になにか特別に思ったりはしない。

ただ早く、早く家に返して欲しい。


ここは私の居場所じゃない。


それだけ。






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