拝啓 [銀魂ｰ坂田銀時]

敬具 ページ34

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あなたの元をまた訪れた。

生きる気力のある、あなたの元を。


あなたは変わらず、やっぱり私の好きな人だった。



黙って出ていった私に、銀時さんはどう思うだろう？


また勝手に出ていきやがってって心配してくれるかな？

それとも、あいつ放浪癖でもあんのかなって、ほっとくかな？

それとも、私の帰りを、待っててくれるのかな。


どうせなら、私を探して、必死になってくれないかな。


報われない恋はしない方がいいと

何かで読んだことがある気がする。


それなのに私は学ばないから

報われないと誰より知っているくせにあなたを好きになんかなって。


あーあ、お守り、無くしちゃったな。

何年も何十年も、大切にしていたのに。


銀時さんを、諦めろって、事だったのかなぁ。



死に際、銀時さんを思い出した。


私の為にと叱り、最終的に私のわがままに振り回してしまった両親よりも

ずっと私を育ててくれた乳母よりも、あなたを考えた。


指先から冷たくなっていく感覚はあるけれど

あなたを考えていると、なんだか心がポカポカした。


何をしたって死ぬんだ。


最後にあなたに会いに行けてよかった。


変わらないあなたの隣で眠って

少し耳の赤いあなたと手を握って

雨で濡れた少し色っぽいあなたを見て


もう十分に幸せ。

幸せだった。


でもやっぱり、あなたに会いたい。


また、会えるかな。

今度は、強い体で、ずっと、あなたのそばにいられますように。







あなたを愛した人より

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