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そろそろ日が沈む。
俺が探した場所には、どこにもいなかった。
昨日出来なかった分の仕事も、行く気のなかったあいつの墓参りも
俺は何も出来ないで、お前を見つけることも出来ないで、屯所へと歩き出した。
本当に、俺の目の届かないところで死のうとしていたらどうしようか。
本当に、お前が死んでしまっていたら、どうしようか。
そんなことばかり、ずっと考え続けて
鬼の副長なんて、そんな肩書きすら忘れて、俺は今、しょうもない面をしているんだろう。
それから、辺りの声がうるさいことにきがついた。
ざわざわと人だかりができている。
なんだ?
今はそれどころじゃないのに、俺は、お巡りさんだから、これを無視する訳にも行かねぇ。
どいてくれ、と人だかりを割って中心に向かう途中、そいつの声が聞こえた。
俺は焦って、急いで、無理やり人をかき分けて
その中心で、見慣れた銀髪の手を、そいつが離したのを見た。
なんでお前らが一緒にいるんだとか、そんな疑問はどうでもよくて。
そんなことよりも、昨日のあいつの連れていた天人が
そいつの、Aの髪を引っ張って、腹を無理やり掴んで、走っていこうとしていることに怒りと、焦りと、自分へのいらだちが湧き上がった。
「A!!!」
今までに、出したことが無いかもしれないほどに大きな声で
そいつを呼んで、腕を伸ばした。
Aは、俺を見つけて、驚いて、涙を浮かべて、一瞬、安心したような表情を見せてから俺に手を伸ばして、それから、俺たちの手は一瞬触れ合って、瞬く間に、Aは目の前から消えた。
追いかけても、獣の天人になんざ追いつけるはずもなく
途中で俺は、歩みを止めた。
その時点で既に、Aの顔も、天人の背中も、見えてはいなかった。
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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時