検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:25,011 hit

41. ページ41






そろそろ日が沈む。


俺が探した場所には、どこにもいなかった。


昨日出来なかった分の仕事も、行く気のなかったあいつの墓参りも

俺は何も出来ないで、お前を見つけることも出来ないで、屯所へと歩き出した。


本当に、俺の目の届かないところで死のうとしていたらどうしようか。

本当に、お前が死んでしまっていたら、どうしようか。


そんなことばかり、ずっと考え続けて

鬼の副長なんて、そんな肩書きすら忘れて、俺は今、しょうもない面をしているんだろう。


それから、辺りの声がうるさいことにきがついた。


ざわざわと人だかりができている。


なんだ?

今はそれどころじゃないのに、俺は、お巡りさんだから、これを無視する訳にも行かねぇ。


どいてくれ、と人だかりを割って中心に向かう途中、そいつの声が聞こえた。


俺は焦って、急いで、無理やり人をかき分けて

その中心で、見慣れた銀髪の手を、そいつが離したのを見た。


なんでお前らが一緒にいるんだとか、そんな疑問はどうでもよくて。


そんなことよりも、昨日のあいつの連れていた天人が

そいつの、Aの髪を引っ張って、腹を無理やり掴んで、走っていこうとしていることに怒りと、焦りと、自分へのいらだちが湧き上がった。



「A!!!」



今までに、出したことが無いかもしれないほどに大きな声で

そいつを呼んで、腕を伸ばした。


Aは、俺を見つけて、驚いて、涙を浮かべて、一瞬、安心したような表情を見せてから俺に手を伸ばして、それから、俺たちの手は一瞬触れ合って、瞬く間に、Aは目の前から消えた。


追いかけても、獣の天人になんざ追いつけるはずもなく

途中で俺は、歩みを止めた。


その時点で既に、Aの顔も、天人の背中も、見えてはいなかった。







42.→←40.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
195人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。