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「あ、あんなに悪いって・・・」



呉服屋を出てもなおそういうそいつを無視し俺は新しいタバコを吸って歩く。


簪屋なんかどこにあんだ?

ここらはよく通るが、簪なんか普段使わねぇから。


キョロキョロと周りを見ながらそいつの手をまた引いて簪屋を探す。


聞く耳を持たない俺に諦めたか

もう、と小さく呟いてから、そいつは何も言わなくなった。



「あれ簪屋か?」


「うん」



分からない、そう返答が来るかと予想していたのに

そいつはそうじゃない返事を聞かせた。


簪すらどんなもんか分かってないんじゃないか、

そう思っていたが、そうでもないらしい。


まぁいいか、そんな軽い気持ちで流し、そいつとそこへ向かう。


着いたはいいものの、さっきとは違い店の奴も知らない。

更にいえば、簪なんてもんも分かるはずがない。


自分でもわかりやすく顔を歪めた後、そいつを前に出す。



「選べ」


「え」


「俺に簪なんて分かると思うか?」


「私もわかんないよ!?」



え、どうすればいいの?どれ選べばいいの?

声には出さずとも顔でそう訴えるそいつに見兼ねて話しかけたのは店の主人。



「お嬢さんのを買うのかい?」


「あぁ」


「歳は20代かな・・・?

それじゃあここら辺がいいだろうね。落ち着いたのが似合う年頃だね。

合わせる着物の色で更に選択肢は絞れるよ」



性格の良さそうなにこやかな笑顔。


高いものを推してくるわけでもなく

そいつに似合うものを選ぼうとしてくれているらしい。


えっと、そう言うそいつの代わりにさっき選んだ着物の色を俺が伝えた。


そうかいそうかい、そう言って満足そうに主人は笑い

選択肢の中から、この色はこれ、この色はこれ、と簪を選んでくれる。


そいつはその中から安いのを選ぼうとしたのか

主人に値段を聞こうとしたが、俺はそれを止めて、それを全部買い占める。



「土方さん!」


「大事に使えよ。もう買ってやんねぇから」


「自分で買ったとしても今後買う予定なんてなかったのに!」


「貯金のできるいい女なこった」







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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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