25. ページ25
･
｢こっちとこっち、あらぁ、どっちも似合いますねぇ。
どうです？土方さん｣
呉服屋の娘が楽しそうにそいつを振り回す。
普段から世話になってるもんだから
その娘もそこの婆さんも、俺が連れてきた女に興味津々。
そんなんじゃねぇと言ったって聞かねぇんだから仕方ない。
そいつの肩に当てられた2枚の布を見てから
タバコをふかしながらそいつの顔を見た。
申し訳なさそうだが、どこか嬉しそうな、素直じゃない表情。
｢そーだな･･･｣
どっちでもいい、他の女なら見ることもせずそういうくせに
俺は娘の持つ紺色の布を指した。
濃く深いその青が
そいつの少し薄い髪色をと白い肌を際立たせる。
大人らしい顔立ちに、大人らしいその色がよく映える。
｢俺ァそっちが好きだ｣
｢そう！･･･そうかい土方さん！それじゃあこの色にしよう！
それじゃあこっちはどうだい？｣
｢･･･全部俺に聞く気かよ。
･･･赤｣
小さく言ったその色にも満足そうに娘は笑った。
そいつはそいつで自分は何も言わず
俺に全てを委ねているよう。
いくつも色を聞かれ、答えていくうちに、ようやくそいつは声を出す。
｢そっ、そんなにいらない！｣
｢あぁ、そうだね、ちょっと選びすぎたか｣
興奮してしまったと反省する娘に
そいつはきつく言ってしまったと慌てる。
そんな様子に思わず笑い、金の入った財布を娘に渡す。
国から貰った金の全額を持ってきたわけじゃない。
何より、元々全部をこいつに支払わせようとは思ってなかった。
｢この財布から3割、こっちの財布から7割貰ってくれ。
選んだ分は全部袋に入れてくれ。後で取りに来る｣
｢ひ、土方さん･･･！｣
｢自由の身になった祝い品だと思って貰っとけ｣
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします！ (2022年5月7日 23時) (
レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん！あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています！真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか？よかったら教えて欲しいです！！いつも楽しみにしています！！ (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2021年10月19日 21時
