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1時間ほど経ったか、スっと障子の開く音に頭を動かした。
「全員寝てんのか」
「ガキ共は結構寝てるが、」
「あの時のお嬢ちゃんだって?」
静かに近づいてきた近藤さんとコソコソ会話をする。
近藤さんの質問に、あぁ、と一言答えて書類から目を離す。
俺の隣に立つ近藤さんも悲しげに眉を下げた。
誰が見ても栄養の足りていない体、
痛々しい痣、分かりやすい隈、もっと早くに、救えてれば。
ヘラヘラと笑う割に、楽しくなさそうな作り笑顔も
何もかも諦めたかのようなその目も、させることは無かったかもしれないのに。
「子供たちの引き取り先は?」
「いい感じにまとまりそうだ。お嬢ちゃんは・・・」
そこまで言って言葉を止めた近藤さんを不思議に思い
近藤さんの視線の先を見れば、そいつは既に目覚めていた。
「起きたか。まだ寝てろ」
「・・・子供たちがここから出ていったら・・・そしたら、」
私を処分してください、確かにそいつは、か細い声でそう言った。
その言葉に、思わず呼吸を止めた。
なんつーこと言ってんだ。
大真面目な顔で当たり前のように。
「それはいけねぇなぁ。
Aさん、俺たちゃ人を救うためにいる。
罪のねぇ人間を、殺すために仕事してんじゃねぇんだ」
ニカリと、壁を感じない笑顔でそう言う近藤さん。
そんな近藤さんを見るそいつを、俺はじっと見た。
何を言われても、意思は変わらない。
そう思っていると感じさせるほど、瞳の中は暗い。
「何を好き好んで自分から死を選ぶ?」
「・・・もう、生きたくない」
俺の問いに、ようやく本心を表す。
しかしその答えに、俺は戸惑う。
はっきりとした意思表示。
今までは軽く濁していたくせに、これだけは以前もはっきりしていた。
だからこそ、死にたいという気持ちだけはハッキリとしているからこそ
それが本音であると分かって何も言えねぇんだ。
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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時