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最近急に誘拐されて商品にされていた人もいたらしく

家族のいる場所に返してやることに決まると、家族がいない奴らはかなり少なくなった。


勿論というのもなんだが、その中にそいつはいた。


大人で家族のいねぇやつはそいつだけで

後は自分の家すらわかんねぇ様なガキが数人。


そのガキだって、探している親がいれば引き取られるし

いなけりゃ施設に連れてかれるだろう。


1度訪れたことのあるはずの大広間で

小さいガキを周りで寝かしつけ、1人、ぼうっと外を眺めるそいつ。



「・・・おい」


「・・・ん」


「おめぇも寝たらどうだ。疲れただろ」



ガキどもも一旦布団に寝かせるから、そう言い、

ほかの隊士に布団の準備をさせる。


近藤さんは報告書や上との連絡で忙しい。

もちろん俺もこの後報告書やらなんやらあるが。


総悟はどうせサボってるだろうが、隊士たちにも仕事は割り当てられていて

この場にいるのは最後に布団を運んできた山崎と俺、そしてそいつらだけ。


今こいつのそばで話を聞いてやれるのは俺しかいないだろうと

勝手にそんなことを思って、そいつのそばに寄った。



「抱き上げていいか?」


「うん・・・多分、起きないよ」



ガキ共を一人ひとり、そいつと2人で布団に運ぶ。


言った通り起きないから暴れることも無く助かった。


ボロボロだった服は既に支給されたそれなりの着物になっていて

ガキにもそいつにもあった身体中の痣も、今は既に治療済み。



「おめぇが今しなきゃなんねぇことは休息だ」


「・・・でも、」


「でもじゃねぇ」


「・・・寝れないの」


「・・・」


「・・・ずっと、寝れないの」



確かに言われてみれば、そいつの目の下は黒い。


やせ細っていて余計に体調も悪そう。

あんな場所にいて、グースカ寝れるやつもいねぇか。



「・・・抱き上げていいか?」


「え?」



返事を聞く前にそいつを抱き上げ、

山崎が最後に持ってきた布団にゆっくりと下ろした。


当たり前だが、さすがに軽すぎる。

骨すらスカスカだなこれは。



「おめぇの今後のことも、こいつらのことも、今は考えなくていい。

寝れねぇなら寝れるまでそばにいてやるから」



らしくねぇとは思った。


俺ァそんなことする玉じゃねぇ。


でもこいつにだけは、そうしてやりたかった。


ガキ共寝かせて、自分は寝れねぇで。

そんなこいつを、全てから、守ってやりたくなった。







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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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