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全員殺して証拠隠滅を図ったわけだ。


既に殺された人間がいることに

もっと早く動けばよかったと心底後悔した。



「立てるか?」


「・・・お巡りさん?」



ようやく俺を思い出したのか、そいつは

またあの目をこちらに向けてそう呟いた。


音にならないような声だった。

掠れ、震え、怯えた声。



「もう大丈夫だ。お巡りさんが来てやったからな。

・・・遅くなっちまった。残りの奴ら、まとめられるか?」



申し訳なさを募らせながら、俺はそう聞く。

そいつは、静かに頷き、死体をそっとその場に置いて、奥で怯える他の人の元へ向かった。


後ろを守りながら近藤さんとパトカーへ戻れば

他の隊士がほとんど敵はやってくれていたらしく、戦うことはほとんどなかった。


とりあえず屯所で引き取り、その後のことは要相談で取り決められる。


怯えきった人たちの中に、1人、自分のものでない血を服につけ、何も感じていないような表情のそいつ。



「・・・おい、大丈夫か」


「・・・うん」


「遅くなっちまってすまねぇ」


「・・・お巡りさんのせいじゃないよ。

・・・今まで、死人が出なかったわけじゃないから」



20歳くらいだと、そう言ったお前は、何時からここにいた?


まるでもう何年もここにいて

何人もの死と向き合ってきたかのようなその言い草に、また胸が痛い。


ずっと、境界線を引いてきたつもりだった。


全員を救えるわけがねぇ。

俺の刀1本で、全ての人が救えるはずがねぇ。


だから、救えなかった命に後悔はするな、無慈悲なようだが、俺はそう決めてきたはずだった。


なのに何故か、こいつのその何もかもを諦めたような表情が

俺の感情を揺さぶって、俺を酷く後悔させる。


生きているはずのお前を、俺は既に救えてない。







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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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